初めて感じた「褒める」ことの必要性

どうもどうも今週から新学期がスタートし、今期はpracticumとcurriculum developmentの2つを取っています。前回の記事でも触れた通り、実習先は、とあるsocial serviceで移民の方々向けに英語を教えてる先生のところで実習をやることになりました。

火曜日に、実際に授業を見学させてもらいに行ってきたのでそのことを書いておきたいと思います。最初にざっとどんなことを授業中にやっていたのか、その後にタイトルにも絡めたことを書きたいと思います。

教室は結構広くて円卓が6つと前にホワイトボードがあって、英語教材が後ろの棚にどさっと置かれていました。授業は午前9時から12時までの3時間でしたが、とくに9時になったら始めるということもなくて、ぞろぞろと人が集まってきて、その度に先生が僕を紹介してくれて挨拶をし、談笑しながら授業の準備をしてちゃんと始まったのは25分過ぎたあとからでした。レベルはlow beginnerなので、ほぼ英語が喋れないと言ってもいいくらいで、なかにはかなり強いアクセントありながらも結構流暢にしゃべっている人もいました。ほとんどがブータンからの移民で、自国では学校に行ったこともなかったという人や産まれてからずっと難民キャンプで暮らしていたという人も。年齢もかなり幅があって、孫がいるようなおばあちゃんから僕と同い年くらいの若い人までが一緒に英語を勉強するというような環境。名簿には20名ほどの名前がありましたが、誰がいつ来るかは先生にもわからないというほど出席にばらつきがあるそうで、また途中から参加したり途中で授業を抜ける人も多いので臨機応変さが求められそうです。

授業で扱われたのは現在進行相で、まずは導入として様々な動詞をingにすることを”What are you doing?”というようなインタラクションで。これは授業が終わったあとに聞いたことなのですが、前日に既に現在進行相の意味と形式の確認は済ませてあるということでした。なので復習といったかんじ。ですがなかにはこの日が初めてという人もいて、そういった人たちにとっては初めて学習する項目ということになります。

導入のあとはプリントにあるダイアログをペアで読む練習でした。人数の関係で、僕も一緒に混ざってやったのですが、やはり発音がどうしても気になってしまって何回か止めて練習させたりしてみたのですがむずかしいですね。sheの発音が全部seaになってしまっていて、それを矯正することが結局最後までできませんでした。初対面ですし勝手に違うことするのもはばかられたのですが、僕が授業やるときにはどうにかして発音練習を授業に組み込んでいけたらいいなと思っています。

次に、doing the laundryといったフレーズが書いてある紙と写真をバラバラに配って、”Are you doing the laundry?”とか現在進行形を用いて質問をし、自分の持ってるフレーズが表す行為の写真を持っている人を探すというマッチングアクティビティ。日本の中学校や小学校の外国語活動でたまに見られるように、実際に英語を使わないで持ってるモノを見せ合っておしまいみたいな場面が見られました。すべての指導が英語で行われるので、本当にとにかくやってみせることが一番大事なのかなと思いました。いくら丁寧に指示を出したと思っても、すべての指導が英語で行われるわけですから学習者がちゃんと理解してくれていない可能性も大いにあります。とくにこのレベルでは。

そのあとは、主語と動詞(この場合はbe動詞)の一致が問われる作文エクササイズ。主語(例えばTom and his friendとか)と、動詞句(例えばwash the car)があって、

Tom and his friend are washing the car.

という文を作らせるような問題をいくつか。一文ずつ先生が指名して、生徒が一人ずつ前に来て書くという感じ。

僕は、生徒が間違えたときにはなるべく自分で間違えに気づかせる方向に持っていきますが、先生は結構ダイレクトに間違えを指摘する感じでした。

そのあとは、ペアのスペリングアクティビティ。アルファベットが書かれた小さなカードを机に広げ、先生が動詞を言うのでその動詞にingを付加してカードを並べて単語をつくるという。

結構盛り上がってましたが、やっぱり指示がうまく行き届いていなくてなにをやったらいいかわかっていなかったり、動詞だけでいいのに文を作っていたりとかまあそういうコミュニケーションのずれみたいなのはちょくちょく見られました。またペアによってもモチベーションに差があって、難しすぎて逆につまらなそうに見える人もいました。レベル分けされてるとはいえ能力に差はありますから、どうやってペアを組むかという点ももう少し工夫が必要そうです。

そんな感じで残り15分くらいになるとぞろぞろと人が帰りはじめたので、最後は雑談でおしまいって感じでした。

さてさて、タイトルはちょっと煽りすぎっていうか、褒めることが大事ってのを初めて感じたっていうのは言い過ぎかもしれないんですが、僕が何を言いたいかって言いますと、こっちってほんともうとにかく褒めて褒めてとにかくあまり間違いを訂正したりしないで”encourage”するっていうのが結構というか僕が思うに日本よりはるかに重要視されているように思うんですね。まさに某家元が大嫌いそうな、いつもやり玉にあがってる光景がよく見られるんです。今回見た授業もその典型といってもいいのではないかと思いました。僕も一応英語学習者で、いろんな留学生の英語も聞いたことありますが今回の生徒たちの英語を聞き取るのはかなり難しかったです。もちろん発音だけが原因ではないですが。また、発話に含まれる文法的誤りの訂正もほぼなくて、「意味が伝わればOK」という感じでした。正直にいうとそういう考えは僕はあまり好みではなくて、やっぱり間違えは正すべきだと思っています。ですが今回の授業見学で、「ああこの場合はこれが一番なのかもしれない」と思いました。生徒の母国語でコミュニケーションが取れるならまだしも、英語しかコミュニケーションの手段がない上にほとんどコミュニケーションツールとしての英語が身についていない状況で、生徒との信頼関係を築いて授業を成立するためにはとにかくencourageっていう方法もアリなのかなって。言語も文化もまるっきり違うし共有してるものがかなり少ない状況の中で、愛情としての「厳しさ」が通じるかどうかはかなり怪しいですよね。英語を学習する必要性はあれど(アメリカに住んでいるし)、あまり授業に来ない人もいるそうです。ですから動機がそこまであるわけでもない人も中にはいるわけですし。発音に関していえば、native speaker of Englishの先生が理解できるのだからということもあるのかもしれません。もちろんELLの先生というのは耳が慣れているので強いアクセントの英語でも理解できますが、一般のnative speaker of Englishはそうでもないんじゃないかっていうのは考慮する必要がありそうですけど。

これは最近のいわゆる「体罰問題」にも関係あるかもしれませんが、自分が「生徒のために」と思ってやったことや、「とにかく愛情があれば」みたいなのって結構危険ですよね。教育に限らずに愛情を注げば注ぐだけ、情熱があればあるだけうまくいくってことでもありませんし。まあなんていうかこうバランスっていうんですかね、ちゃんとポイントを絞って、今日はここちゃんとしようあとはとりあえず気にしないでおこうみたいな「割り切り」も必要なのかなぁとか。

それに、いろんな背景があって英語を勉強することになってるわけで、歳も僕より上の方もたくさんいらっしゃってみなさん大人という中で、どんな思いで授業に来ているのかというのも可能な限り考えたいなと思います。

最近は自分が「教える」という立場にいなかったこともあって、久しぶりに英語を「教える」ということをしたときに、わからない→わかる、あるいは、できない→できた、というプロセスを目の当たりにしたときの、「そう!それ!そういうこと!」感みたいなこうなんというか、ああこういうのが楽しいなと思って教員になりたいなぁと思ったんだろうなみたいなことを思い出すこともできて、すごく有意義な3時間でした。

こういう経験は絶対に日本ではできないと思いますので、たくさん学びたいと思います。また、こういう環境で教えることや考えたことが、必ずしも日本の英語教育に当てはまるというわけではないということも十分にわかっています。ですので今回書いたことも、これから実際に僕が授業をするにあたってどういうスタンスでやっていったらいいのかということを考えただけでして、日本の英語教育にどうこうとか誰がどうだこうだとかそういうことを言うつもりはありませんので。

そんなわけで、これから時間を見つけて実習に関することもブログに書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

では。

アメリカ New Hampshireより。

おしまい。

 

広告

初めて感じた「褒める」ことの必要性」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 実習先での初授業 | (続) アメリカ New Hampshireより

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中