「2年目のが忙しい」説

大学院生の時,以下のような話を聞いたことがありました。

大学に就職したら1年目はあまり仕事を任されたりしないので忙しくないけど,2年目以降はどんどん仕事が増えるので忙しくなる。1年目に研究とかやったほうがいい

今私は現在の所属先に就職して2年目になりますが,2年目の方が忙しくない,つまり1年目の方が忙しかった,と思っています。この記事ではそれは何故なのかについて考えてみたいと思います。特に一般化するつもりもありませんし,上の発言を否定する気も毛頭ありません。むしろ,一般的には2年目以降の方が忙しいのだろうと思っています。

知らないことが多いことのストレス

私がストレスフルなくらい忙しいと思うのは,おそらく仕事の量よりも知らないことの多さにあると思います。いや、まあ誰でもたぶんそうでしょうけども。私は大学教員の専任職を得たのが初めてだったので,とにかくやること全てがわからない状態でした。

すごい細かいことでも、わからないことが多いのは不安でストレスがたまります。例えば

  • 授業や会議の教室の場所がパッとわからない
  • 必要な情報を得るには学内ポータルサイトのどこにアクセスすればいいのかわからない
  • 書類を提出するにも、マニュアルに書いてあることを読みながらやるけど合っているのかわからない
  • わからないことを聞くのにどこに聞けばいいのかもわからない

みたいな。たぶん普通の会社だと,教育係の人がいたり,デスクが近くの人に聞いたりできるのでしょうが,大学教員は仕事部屋(研究室)が個室なので,気軽に同僚の先生に聞いたりとかもできません(聞きに行くにも気を使いますしね)。

また,「これについてどうしましょうか」、という対応を求められるメールが回ってきても、「どうしましょうもなにも今までどうしてきたのかとか,どの対応したらどういう結果になるかとか,なにもわからないからなにも言えないしこのメールなんて返したらいいの?」みたいなこともたくさんありました。

終わりまでの道筋がみえない

仕事の具体的な話で言うと,「なんとかなるから大丈夫だよ」と先輩に言われた仕事も,「いや、なんとかなるかもしれないけど,どのくらいのエフォートを割いたらどれくらいの作業時間で終わるかもわからないし…」というこのブラックボックス感が不安でストレスがすごくありました。だいたい何か仕事をやる時って,これまでの経験でどれくらいの時間がかかりそうかとか,どれくらいリソースを割いた方が良さそうか,優先順位としてどれを先に終わらせるべきか,とかある程度予測が立つと思うんです。1年目はその予測が全くできないと。終わりまでの道筋が描けないので,自分の1週間のスケジュールの中で時間の配分を考えたりするのも難しい。見通しが立たないからとにかく行き当たりばったりで仕事をすることになってしまい,予想外のこともたくさん起こるのでそこでまたストレスを感じてしまうことが本当に数え切れないほどありました。

知らないことが少なくなる2年目

対照的に2年目は,前述の細かいことでわからないことはほとんどなくなっています。キャンパス内の地理も把握できているし,書類も前にやったことがあることがほとんどなのでそれを見ながらやれば良いわけです。

2年目になって増えた仕事ももちろんあって,やらなければいけないことの総量は増えているのですが,それでもやったことのあることの割合が多い分だけ忙しさやストレスを感じていません。仕事を終わらせるために必要なたくさんのことの見積もりが事前にできるので,効率的に業務をこなすことができます。これは単に時間的・体力的な余裕ができるだけではなく,気持ち的にも楽になります。なぜなら,「このメールはすぐに返せる」,「これは後回しでも大丈夫」,「この仕事はまずこの部分だけ終わらせればとりあえずはオッケー」みたいな判断ができることで,頭の中から仕事のことを一旦シャットアウトすることができるからです。時間の余裕ができると言い換えてもいいのですが,見通しが立たないとこの切り替えがうまくできないので,常に頭の中が仕事の事でいっぱいで気分転換もうまくできませんでした。仕事のことを考える時間が長いので忙しさは当然感じますし,それがストレスの原因にもなっていたのではないかと振り返ってみて思います。

力の抜きどころも見えてくる2年目

どれくらいのエフォートでどれくらいこなせるのかがわかるというのは,自分のエフォートを制御することにもつながると思います。どれくらいやったらいいかわからないのでとにかく自分の持てるもの全て投入して臨むわけですが,終わってみると「なんだ。もう少しエフォート率下げても大丈夫だな」と思うことも出てきます。手抜きするというと聞こえが悪いですが,いい意味で求められる成果に合わせて出力をコントロールできることで,省エネ運転ができるようになってガス欠にならないというのも1年目と2年目の違いでしょう。5キロを30分で走りなさいと言われたら,だいたい1キロ6分ペースで走ればいいとわかりますし,それがどれだけ大変かもわかります。スピードをコントロールするのもそれはそれでむずかしいのですが,「ここを川沿いにずっと走ると赤い建物が左側にあるからそこまで30分で」と言われても,それが5キロ先なのか,7キロ先なのか,はたまた1キロ先なのかもわからないので,どれくらいの速さで走れば良いか,どれだけ疲れるかも全く見当がつかないわけです。7キロ先なら6分では間に合わないのでもっと速く走る必要がありますし,1キロならもっとゆっくりでもいいしなんならスタート時間を遅らせたっていいわけです。私にとっては1年目はそんな感じで距離とそこにかかるエネルギーのわからない仕事を常にやっている感覚でした。

実は1年目から仕事量多かった?

もしかすると,1年目から仕事量が多かったために,1年目から2年目に増えた仕事量がそこまで多くないということなのかもしれません。私はそうは思っていませんが,1年目から2年目で増えた仕事量がそこまで多くないと感じるのは,1年目である程度任されることが多かったことの裏返しなのかもしれません。ただ,着任して1年目にやる仕事が大きく違うという話は聞いていないので,この説はしっくりきていません。

おわりに

職場によって環境は本当に全く違いますし,仕事のこなし方も人によってそれぞれだと思いますので,ここに書いた話がどこでも誰にでも当てはまるとは思っていません。しかしながら,私にとっては上述のような理由で,1年目よりも2年目の方が「忙しい」と感じる程度が低いように感じています。来年にどうなるかはわかりませんが,少しずつ自分のできることを増やしていきながら,自分の能力と相談して仕事を(そして研究を)こなしていきたいなと思っています。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

「2年目のが忙しい」説」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 2019年の振り返り | 英語教育0.2

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