オンライン授業での「顔出し」問題 (1)

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はじめに

今,オンラインの授業で「顔出し」問題がちらほら聞かれます。要するにビデオ会議システムを利用する際に,ビデオをオフにして音声のみで参加するということです。1対1のやりとりであれば,それこそもともと電話って音声だけのやりとりだったわけでそこまで違和感あるものでもないと思います。ただ,人数が多くなったときに音声のみだと,「話聞いてるのかわからない」とか,「本人であることが確認できない」という問題を指摘する人がいたり,「顔が見えないようではグループワーク時にコミュニケーションが取りづらい」「そもそもコミュニケーションは顔が見えてなんぼ」ということを指摘する人がいるようです(私の周りでは)。この記事では,この2つの問題点ついて考えてみます。

そもそも「顔出し」しない理由は?

「顔出し」の問題を自分にとって都合の悪い問題だと考える人って,「顔出し」しない側について配慮することが足りない場合もあると思っています。顔を出さない理由がなぜなのか,考えましょうよっていう。

プライバシー

とくにオンライン授業でZoomなどのビデオ会議システムの利用が盛り上がり始めた当初,この問題を指摘する人もいたと思います。インターネット上で実名顔出ししてる人って少ないですよね。それをしたくないと思うのと同じ理由で顔出ししたくないと考える人はいると思います。

通信量の問題

ビデオをオンにした状態は,音声のみの場合よりも通信量がかかります。学生側の環境をあまり把握せず,または把握したけど大部分は大丈夫そうだからとZoom等の利用に踏み切った場合,このケースが該当するかもしれません。「顔出し」したくても通信量の問題を考えてできない,あるいはできるだけ控えたいと考える学生がいてもおかしくありません。家にWi-Fi環境があったとしても,親や兄弟姉妹もインターネットを使って仕事をしたり授業を受けたりしていれば,通信が遅くなったり途切れたりしやすくなり,だったら音声だけのほうがトラブルが少ないので音声のみにするという選択をすることもあるかもしれません。

画面の問題

この問題もあるかもしれません。スマホしかデバイスがない場合の問題です。そうなると,スマホでZoomに参加しつつ,スマホで授業の資料を見ないといけないかもしれません。バックグラウンドでもZoomは動きますが,この場合ビデオはオンにできませんので音声のみでの参加を強いられてしまいます。教科書や授業資料がデジタルファイルとして配布されていて,それを自宅で印刷できない,コンビニのネットプリントの使い方もわからない,という状況だと,スマホで完結させざるを得ないのかもしれません。ただでさえ教員には質問しづらいものなのに,この状況ではそのハードルも普段以上に上がっていると思います。そうした学生にも顔を出しなさいというためには,スマホはzoomだけを使っていればよいという状態にするのは教員の仕事だと思います。それがめんどくさいと思うなら,安易に顔出し強制とは言えないでしょう。

「話聞いてるのかわからない」問題

これはもうしょうがないとしか言いようがないと思います。というか,ビデオがオンになってたら話聞いてるとも言えないと思います。話聞いてるかどうかは,話の内容を理解していないとできない課題をあとでやらせるとか,話の内容をメモさせるようにしてあとで提出させるとか,そういう部分で確認していくしかないと思います。

「本人であることが確認できない」

これについても前節と同じで,ビデオがオンでも本人かどうか確かめることはできません。それこそ入試のときのように受験票の写真をチェックしたり,あるいは定期試験で学生証の写真をチェックしたりしなければ,なりすましを防ぐことはできません。対面授業のときだって,名前を呼んで,手を挙げた人がその学生に間違いないと信じて授業をしていますよね。わざわざ一人ひとり本当に本人かどうかを確認しているのでしょうか。それをしていない時点で,ある程度学生を信頼して授業しているということだと思います。オンライン授業になった途端に,本人かどうかを疑うのはなぜなのか理解できません。そもそも一度も会ったことのない,名簿の名前しか知らない学生相手に授業をするわけですから,ビデオがオンになっていて顔を見ても本人かどうやって判断するのでしょうか。

ただ,この本人確認問題はLMSで課題をやらせるときなんかでも問題視されますよね。一応IPアドレスは残るので怪しいのを特定することは可能ではあると思いますが,100%防げるかというと難しいかなと思います。

こういう不正に繋がりうる問題があることも一因で,成績のつけ方をこれまでと同じにしていて問題はないのかという意見も出てきていると思います。この「本人確認問題」を重要な問いとして研究している分野もあると思うので,今後成績とか試験どうすんだという問題をもっと真剣に考えないといけなくなったときに(今もそうかもしれませんが),そういう分野の方々の知見がいきてくるのかなと思います。

おわりに

この記事では,オンライン授業のなかで,とくに同時双方向型の授業をするとき,Zoomなどでビデオをオフにして参加する学生がいるということについて,その問題ってほんとに問題なのかなということを書きました。長くなってしまったので,コミュニケーションに関わる問題点については,また別の記事で書きたいと思います。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

オンライン授業での「顔出し」問題 (1)」への1件のフィードバック

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