Slackを用いた授業外ライティング活動の便利ワザ [Google Spreadsheet編①]

はじめに

便利ワザと言えるのかわかりませんが,とりあえず自分はこんな感じでやっていますというお話です。以下の話の発展です。

授業外でライティングする機会を確保するためのSlack

前提として,どのようにSlackを利用しているのかというお話です。google spreadsheetに書き出したデータの扱いについてにご興味がおありの方はこのセクションは飛ばしていただいてかまいません。私がslackを使おうと思ったのは以下のような考えからです。

授業外で,英語ライティングする機会を与えたい。できるだけ自由に書き込みができ,教員もそれを監視・管理しやすい。

やろうやろうと思っていたのですが,なかなかSlackの使い方もよくわかっていませんでした。共同研究の話等でもSlackを使い始めるようになり(サイボウズのサービス終了のため),自分もSlackに慣れてきたのでこの秋学期から導入することにしました。ここでも何回か記事を書いている外国語学部1回生向けのライティングの授業でのことです。

授業外でのライティングは,前記はLMSにある掲示板機能を使い,そこに私が毎週話題をポストしてそれについて各自意見を書き,お互いにコメントし合うというものでした。以下のリンクでそのことにも触れています。

https://tam07pb915.wordpress.com/2018/04/26/writing-class/

後期は,slackをclosed SNSのようにして使い,自由に英語でやりとりをするということを掲示板でのフォーラムライティングの代わりにすることにしました。前期のフォーラムライティングでは,「1人必ず○人にコメント」などとしたりして交流が生まれるようにしてみましたが,コメントが「テンプレ」化してしまったりしていたので,より自由にライティングのコミュニケーションができていったらいいなと思っています。

使い方のルールとしては以下のようにしています。

  • 一般的なルール
    • 自分のスマートフォンに必ずslackアプリをインストールすること
    • 書き込む情報については,既存のSNSに関するルールと同様,誹謗中傷や公序良俗に反する書き込み以外であれば,何について書き込んでも構わない(写真の投稿も可能)
    • 日本語での書き込みは一切禁止
    • 使い方等についての質問がある場合は,#generalに英語で書き込むこと
    • 他のクラスの人にも話題を共有したい場合には#randomに書き込むこと
    • 誰かの書き込みに返信(いわゆるリプ)をしたい場合は,”Start a thread”を使うこと
    • “Start a thread”機能を使うときは,”Also send to #channel-name”にチェックを入れること(こうすることで,メインのタイムラインでも返信が見れます)
    • 誰かに直接話しかけたいときは,@をつけること
    • 成績に算入するのは,自分のクラスのチャンネルに書き込んだもののみ(#generalや#randomや他のクラスのチャンネルに書き込んだものは語数に数えない)

評価方法は,毎週300語を学期の最終授業日まで続け,平均達成度(%)×5点を最終的な評定に加えるというものです。共通シラバスのため,授業外の課題に割ける評価の割合がもともと15点くらいしかないのでこのようにしています。そのために300語って結構えげつないなと思われる方もいるかもしれませんが,私もそう思っています。今学期の様子をとりあえず見てみて,ハードルが高すぎるために「コスパが悪い」と思われて取り組みが悪くなるということがあれば今後語数の基準を下げるかもしれません。

Slackデータのエクスポート

さて,上述のような形でslackを運用しているわけですが,私の扱い方だと「毎週300語」という設定にしているので,学生の立場からすれば「自分が今何語書き込んでいるのか」がいつでもわかるようになっていてほしいというのは当然でしょう。そのために教員がわざわざデータをチェックしてそれぞれの学生の書き込んだ語数を分析してまとめて報告するというのは無理でしょう。というかやってられません。そこで,エクスポート->語数の記録->まとめ,という一連の作業を自動化して,いつでも学生が見れるようにする必要があります。そこで,上に上げたスライドで浦野先生が紹介しているGoogle Apps Scriptを使うというわけです。浦野先生も紹介していますが,SlackのログをGoogle Spreadsheetに保存するという作業自体は以下の記事を参考にすればすぐにできます。

Slack のログを自動で Google Spreadsheet に保存する

問題は,その先で,語数の記録とそのまとめという部分になります。私自身がGoogle Apps Scriptをいじれないので,とりあえずは上記のリンクを参考にGoogle Spreadsheetにログを保存し,そのあとにGoogle Spreadsheetで頑張るということになります。Rでもログを取ってきてまとめて可視化みたいなことはできますが,自動化の部分が少し難ありです。Rのコードもそのうちここに投稿しようと思います。

Google SpreadsheetでSlackのログをいじる

Google Apps Script(GAS)は,自分で決めたトリガーで定期的に更新できるので,その頻度を好みに設定しておくだけで,定期的にデータを最新のものにするという作業はできます。最初は,ログのspreadsheetファイルにある各チャンネルのシートに列を追加して各行の書き込みの語数を記録し,それを別ファイルにピポットテーブルで吐き出すということを考えました。ちなみに,ログのデータは下の画像のような感じでチャンネルごとにシート1枚で記録されます。

A列が日付,B列が名前,C列が書き込まれた内容,D列はもとのJSON形式のデータです(注1)。最初は,このシートのE列に語数カウントの関数を入れていたわけです(excelで語数のカウント方法についてはググればすぐに見つかります)。ただ,それだとシートが更新されるとうまくいきませんでした。このチャンネルのシートをそのまま別シートで参照し,その参照したコピーのデータを使って…ということもやりましたがこれもうまくいかず。ということで,GASが作るスプレッドシートとは別のスプレッドシートファイルを作り,そこからもともとのスプレッドシートの中の特定のシートの情報を参照するという方法を取ることにしました。で,これexcelにもある関数のなのかは知らないんですが,Googleスプレッドシートには,importrangeという関数があり,これを使うことで別ファイルから参照ができます。以下のサイトなどが参考になりました。

【超便利】スプレッドシートで別シートから参照したり集計したりする方法まとめ

引数の基本は,importrange(“参照元ファイルURL”, “参照元シート名!特定セルor範囲)で,このimportrange関数は特定のセルのみを参照する場合と,範囲を指定する場合があるのですが,私は上の画像でいうA〜D列まですべてもってきたいので,範囲を指定することになります。とりあえず,1000行までを1シートに出すという設定だったような気がするので,A1:D1000を指定します。friday2というのは,金曜2限のチャンネルで,後ろのぼかしはslack上のチャンネルIDです。

このimportrange関数をA1セルに入力すると,シートにAからD列までのデータが取得され,参照元のシートがGASによって更新されれば,こちらのシートも更新されます。E列は手動で以下の画像のような関数を入れると,C列のセルの語数がE列のセルに記録されます。あとは,このE列の語数をB列の名前ごとに合計してくれれば,目的達成です。私は金曜の1限と2限に同じライティング科目の別クラスを持っているので,このログシートが2枚あり,そのまとめのシートも2枚あります。

まとめのシートで合計語数の表示

上画像のシート上でやってもいいんですが,見栄えもあるので別シートにまとめだけを作ります。これは,sumproduct関数をつかいます。sumproduct関数は,sumproduct(参照列=名前, 合計を数える列)のような形で使います。下記画像は,”Friday1_import”というシートに,importrange関数で参照元ファイルのデータをインポートしている場合の例です。A列に名前の一覧(注2),B2にこのsumproduct関数をいれます。あとはB2を下にコピーすれば,人数分の合計語数が表示されるというわけです。”Friday1_import”のシートには自動的にデータが追加されていくので,とりあえず1000行を超えないデータであればこれでなんとかなります。

棒グラフでも出したいということなら,範囲選択して棒グラフ挿入でOKです。あとは,このスプレッドシートのファイルを「閲覧可」の権限で共有してSlackに貼り付ければ,学生は自分の好きなタイミングで語数を確認できることになります。私の場合は「毎週300語」という課題なので,週ごとにデータを扱える必要があります。これはもう少し別の手続きが必要になるので,また次回ということに。今日はここまで。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

注1: そもそも,ちゃんとした「下処理」をしないと,「@XXXXX has joined the channel」とかも記録されますし,絵文字1つが1語みたいになるので,ここでの語数は「アバウトな」語数ということになります。

注2: 私は試行錯誤しているときにピポットテーブルを使ったので名前の一覧はコピペでしたが,そうでない方はログデータの”@XXXX has joined the channel”の列だけソートして名前の一覧をゲットするなどの方法が必要です。

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R MarkdownからそのままWordPressに

下記は,Rmarkdownの出力をそのままWordPressに流し込むためのテストです。Rmarkdownファイルを開いたときに入っているデフォルトのコードと文章です。RmarkdownからWordPressに流すために必要な作業については下記ウェブサイトが参考になりました。

R markdownの出力をWordpressへそのまま投稿する | On Your Mark . Tokyo

ただし,plotの画像が表示されなかったので,それを解決するために下記のウェブサイトも参考にしました。

How to publish with R Markdown in WordPress

 

R Markdown

This is an R Markdown document. Markdown is a simple formatting syntax for authoring HTML, PDF, and MS Word documents. For more details on using R Markdown see http://rmarkdown.rstudio.com.

When you click the Knit button a document will be generated that includes both content as well as the output of any embedded R code chunks within the document. You can embed an R code chunk like this:

summary(cars)
##      speed           dist       
##  Min.   : 4.0   Min.   :  2.00  
##  1st Qu.:12.0   1st Qu.: 26.00  
##  Median :15.0   Median : 36.00  
##  Mean   :15.4   Mean   : 42.98  
##  3rd Qu.:19.0   3rd Qu.: 56.00  
##  Max.   :25.0   Max.   :120.00

Including Plots

You can also embed plots, for example:

plot of chunk pressure

Note that the echo = FALSE parameter was added to the code chunk to prevent printing of the R code that generated the plot.

[R] sjPlotパッケージのバージョンアップ

Rで回帰モデルの図示をするときに私が使うパッケージは主に2つあって,1つはeffectsパッケージ,もう一つはsjPlotパッケージです。前者については,以前NagoyRで発表したことがあります。

effectsパッケージを用いた一般化線形モデルの可視化

後者は,lm, glm, lmer, glmerなどの関数で作った回帰モデルの結果が入ったオブジェクトを渡すと,その結果をggplot2に渡して可視化してくれます(その他にもいろんな可視化が可能ですが,私が使うのは主に回帰モデルの可視化です)。昔(数年前)までは,sjp.lm,sjp.glm,sjp.lmer,sjp.glmerなど,もとの回帰モデルに合わせて図示する際の関数を選ぶ仕様になっていました。そして,交互作用図を描きたいときは,sjp.int関数を使うというような。それが,最新版のsjPlotパッケージでは,これらの関数がなくなりすべてplot_modelという関数に統一されているようです(下記のサイトによると2017年10月にこの変更があったようです)。使用例は以下のサイトが参考になります。

„One function to rule them all“ – visualization of regression models in #rstats w/ #sjPlot

交互作用図は,type引数でintにするか,またはtypeをpredにして,termsで交互作用を指定するようです。

plot_model(fit, type=”int”)

or

plot_model(fit, type =”pred”, terms =c (“test”, “group”))

みたいな感じです。これについては,下記のページが参考になります。

 

Plotting Interaction Effects of Regression Models

より詳細な引数の説明などは以下のページに書いてあります(RDocumentationのページ)。

plot_model function | R Documentation

D院生のときに書いたスクリプトではGLMMの結果の可視化にsjp.glmerとかsjp.intを使っていたので,それらが動かなくなっていました。調べたらこういう仕様の変更があったと。一つの関数で,引数の組み合わせで色々な図が描けるというのは便利でいいですね。ただ,テーブル形式(HTML)で回帰モデルの結果を出力するsjt.lm系の関数は,lm, glmなどと組み合わせて,sjt.lm, sjt.glm, sjt.glmer, sjt.lmerなどのままのようです。

それから,最近lme4のモデル式の書き方でstanを使ったベイズ推定ができるbrmsというパッケージを知った(遅い)のですが,plot_model()はbrmsパッケージのモデルにも対応しているようです。まだ試してはいないので,いつかまたブログに書こうかなと思います。

では。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

ねぎしょうがチーズだし巻き

久しぶりに料理ネタでブログを更新しよう思うくらいに美味しいものを作り出してしまいました。本当に美味しいのでおすすめです。題して,ねぎしょうがチーズだし巻きです。

さて,私は家庭用の卵焼きフライパンを使ってだし巻き卵をよく作ります。その時の分量はたいてい次のような感じです。

  • 卵4個
  • 白だし大さじ1
  • 水大さじ3
  • 砂糖小さじ1

卵4個は例えば弁当用に少し卵焼きをなんてときには多すぎますが,料理の一品としてだし巻き卵をカウントするようなときには卵4つが家庭用のフライパンで作るにはちょうどよく,これより少ないと逆に巻く回数との兼ね合いでなかなか難しいというのが個人的な印象です。業務用だと卵8個で1本ですので,その半分というイメージです。

今日は,これに加えて冷蔵庫にあったみじん切りの紅生姜,刻み青ネギ,チーズを使ってだし巻き卵を作りました。紅生姜はみじん切りの状態で大さじ1杯半くらいはあったかなと思います。青ネギはふたつまみくらい入れました。チーズは,業務スーパーで買ったチェダーチーズ1枚でしたが,とろけるチーズやピザ用チーズでもできると思います。チーズが増えると卵焼き自体が柔らかくなって巻くのが難しくなるので,卵焼きに自信がない人はあまり欲張ってチーズを入れようとしないほうがいいかなと思います。

作り方としては,上記の分量より調味料を気持ち少なめに入れて,みじん切りの紅生姜と刻み青ネギを卵と一緒に混ぜます。油を多めにフライパンに入れ,キッチンペーパーで拭き取ってから卵液を流し込みます。この最初のときに,流し込んだ卵液の上にチーズを横に均等になるように敷きます。あまり端まで敷きすぎると途中で溶けて横からチーズが漏れ出してきて,それが焦げ付いたりして巻きづらくなると思いますので,端っこギリギリまでチーズを敷かないほうが良いと思います。

ここからは通常の卵焼きの作り方と同様に卵液を流しては巻いていくだけです。卵液を流し込むとき,具材の紅生姜とネギが下に溜まってしまって最後に残らないようにするために,箸で具材も一緒に流していくようにしたほうがよさそうです。

あとはベーシックなだし巻き卵の作り方のポイントと同じことに気をつけながら作るだけです(これについては私のYouTubeの動画を探して見ていただければw)。

適当に思いつきで作りましたが,これはおかずとしても,そしてお酒のおつまみとしても最高な一品だと思います。

ちょっと焦げ目がついてしまいましたが、まあこういうだし巻きもありということで。

ここ最近使っていない紅生姜が冷蔵庫に眠っている方はぜひお試しください。

なにをゆう たむらゆう

おしまい。

ピアフィードバックの話(ライティング)

今年度ライティングの授業を持っているという話を以前書きました(https://tam07pb915.wordpress.com/2018/04/26/writing-class/)。その授業では,基本的に4週を一単元として,異なるタイプのライティングをしていくという構成になっています。最初はnarrative,次はdescriptive,今はopinion writingをやっています。授業の基本的な構成は以下のようにしています。

 

1限目

  • 書き方についての枠組みの提示
  • ブレスト・プランニング
  • rough draftの執筆

2限目

  • 構成や言語面についての全体へのフィードバック
  • first draftの執筆
  • ピアフィードバック

3限目

  • first draftを見ての全体へのフィードバック
  • first draft(教員の赤入りのもの)へのピアフィードバック
  • second draftの執筆

4限目

  • second draftを見ての全体へのフィードバック
  • second draft(教員の赤入りのもの)へのピアフィードバック
  • フィードバックを受けたものを見てWritten Languaging

Final draftはLMSで電子的に提出させていますが,それ以前の授業内のライティングについてはすべてハンドライティングです。理由はパソコン室でやっていないというだけで,パソコン室使えるなら全部タイプさせてたと思います(よくわかってなかったので依頼書とか出しそびれた)。

上記の授業内容をご覧いただくとおわかりのように,ほとんどの授業のときにピアフィードバックを入れています。これが意味あるか無いかという話はとりあえず置いておきます。私がピアフィードバックを入れている目的は大きく分けて2つあって,1つ目は,他の人のを読むという行為を通じて自分が書くことへの刺激を得てほしいということです。クラス分けされているとはいえすらすらと分量を書けたり,語彙が豊かであったり,あるいは構造の複雑さも高かったりする学生がいる一方で,そうではない学生もいます。他の人のを読むことでライティングに苦手意識があるような学生には「良い部分は真似してほしい」という思いがあります。もちろん,単なる言語面に限らず「ロジック」とか,「文と文のつながり」という点にも意識は向けさせているので,そういうところにも注意しながら読んでもらえるようにしようとしています。

2つ目の目的は,いろんなケースについて,私の赤やコメントを見ることで,どこをどうすればよくなるのかのヒントを得てほしいというねらいです。私のフィードバックは基本indirectあるいはimplicitなので,誤りが含まれていたりおかしいと思うところに赤線や^をいれるだけで,特に正しいものを提示することはないです(たまにdirect feedbackしますが,説明はしません)。また,コメントは9割くらい日本語で(たまにめんどくさいときに英語で書きます),

こういうトピックセンテンスになっているのにボディがそれをサポートしてない

こっちのアイデアについては情報がたくさんあるのにもう一方については具体例も殆ど出てこない

こことここは本当に原因と結果の関係になっている?

なんかこの結論て最初に言ってたことと違う話になってない?

みたいな,構成に関わるものがほとんどです。そういう赤やコメントを見ながら読むことで,良いものとあまり良くないものの例を積み上げていってもらい,それを自分自身が書くときに生かしてほしいということです(注1)。もちろん,かなりできる学生は私が見逃していたような綴りの間違いや形態素の脱落なんかに気づいたりすることもあるので,ピアフィードバックをすることで形式に注意を向ける機会は得られているのかなと思います(ただしこれが自分が書くときの正確さの向上につながっているかは不明)。

ピアフィードバックをするときには,基本的にはドラフト用紙にコメント欄を設けて記名式でコメントとアドバイス(後者は書き手がreviseするときに必ず参考になるようもの)を出すようにということでやっています。

さて,ここまでが前置きなのですが,そのピアフィードバックをどうやるかという話です。最初の頃は,基本的には個人個人でもくもくとコメントを書くような時間を作っていました。20人弱×2クラスあるので,それを全部まぜこぜにしてランダムに配り,20分~30分という時間の中で最低○人のドラフトを読んでコメントをするという指示を出します。自分のペースでコメントをし終わったら前に戻して別の人のドラフトを持っていき,それにコメントして戻してはまた次の人のを取っていくというスタイルです。こういうふうにすると,自分のコメントに責任を持つことが必要になってくる一方で,なかなか「具体的なアドバイスができない」というケースが発生してしまうということが問題でした。また,個人個人の活動なのであまり盛り上がらないということもあります。実はみんなが静かに読んでコメントしている最中にもそこには「沈黙のインタラクション」があるわけなのですが,それは表面化しませんし,クラス全体の雰囲気もだらっとしてしまったり眠くなってしまったりするということもなくはなかったです。もちろん,1年生にしてはかなりレベルの高い学生なので,個人個人でやらせてもそれなりに読めてコメントも的確に出せるのですが。そんなときに,ある友人から,「ペアでピアフィードバックやらせるとめちゃくちゃLRE(Language Related Episode)出てくるよ」というアドバイスをもらいました。そこで,最近は少し形を変えてペアでやらせるようにしました。ただ,ペアでやらせると言ってもやり方はいろいろあると思います。私が今の所引き出しとして持っているのは次の2つのやり方です。

  1.  教室内でペアを作り,お互いのドラフトを交換して読み,口頭でコメントをし合う
  2.  教室内でペアを作り,2人で1枚のドラフトを読んで一緒にコメントを書く

1の方法をもう少し詳しく説明します。この方法は,他のペア活動をするときと同様にペアリングをし,5分間などの時間を設定した上でその制限時間内にパートナーのドラフトを読んで,口頭でアドバイスを送るというものです。この方法のメリットは,著者に直接コメントができるので,著者にしかわからない微妙なニュアンスや,ワードチョイスなどについて直接質問できたり,意味がわからなかった部分について「これってどういうこと?」などと聞ける点です。質問される側は,わからなかったと言われたところは書き直しが必要かもしれないと考えるでしょうし(この前提は甘い?),難しい単語はパラフレーズしたり説明を加えたりという工夫をしようとするケースもあります。また,自分に自信がなくても,「これってさ,ofじゃなくてinじゃないっけ?」という形で聞くことで,「あれ,どっちやったかな。ちょっと調べてみよか」みたいな感じで共同学習がスタートしたりもしているようでした。

2の方法は,前述のように,1枚持っていって読んでコメントするというのを繰り返すパターンを2人でやるものです。これのメリットは,1クラスしかなくても実施が可能な点がpracticalな点としてはあると思います。20人のクラスでもペアにすれば10ペアなので,1ペアにつき1枚ドラフトが渡っても常に10枚はストックが前にある状態なので,読み終わって手持ち無沙汰になるということがなくなります。フィードバックを出すという点については,ペアの相手と一緒にコメントを考えることで,「自分には見えていなかったところに相手が気づいている」というケースが割と出てくるようで,「他の人の書いた原稿」と「他の人のコメント」の両方から発見があるようです。ひとりで黙々とコメント書くパターンでも,自分の前にコメントした人のコメントは読めるようにはなっていますが,二人でコメントを考えるという作業のほうが自分の視点と他人の視点が対照されやすいのかなという印象です。ただし,この方法の問題点の1つは,ペアリングを工夫しないとふたりともなかなか意見が出てこずに沈黙になってしまうということです。私が観察している限りの印象では,熟達度が低い同士で問題が起こるというよりはパートナーとの相性というか,性格の問題が大きいように思います。クラスサイズが小さいですし,他の授業でも一緒というケースも多いので,割とクラスみんなそれなりに仲良しで誰とでも話せるような雰囲気はありますが,そうはいっても全員がそうというわけではないので,たまにこちらがうまく介入してあげないとなかなかアドバイスを出せないということになってしまうようです。1の方法ではあまりこの問題点は顕著ではないように感じるので,reciprocalな関係性がペアの中にあるということがカギなのかもしれません。

ということで,今回はピアフィードバックの3つの方法について記事を書きました。どれがより良いというよりは,クラスの雰囲気,授業の形態や授業のねらい,学生の様子など,いろいろな要因を考慮しながら使い分けていくのがよいのかなと思いますが,ペアでやる2つの方式は割とうまく機能しているかなという手応えがあるので,これからはそちらを中心にやっていこうかなと思います。むしろ最初はペアでやって,ある程度なれてきたらindividual workに移行するのがいいかもしれません。

久しぶりの更新でした。

注1. 授業内で書いたものを直後にフィードバックさせる場合にはこの部分はないです

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

キソケンとはなんだったか

外国語教育メディア学会中部支部外国語教育基礎研究部会(以下,キソケン)の2017年度報告論集が発行されました。

2017年度報告論集

私も一応まだ運営に携わっていますので,まずは報告論集を今年度も無事に発行できたことにホッとしています。この報告論集には,部会長が書く巻頭言が毎号あります(私も2015年度2016年度の報告論集で巻頭言を書きました)。今年度の巻頭言のタイトルは「基礎研の未来」でした。

キソケンに定期的に参加する人数が減っていることや,運営を担える部会員が減っていることなどから,規模の縮小はやむを得ない,という部会長の決断を文章として目の当たりにし,残念な気持ちになりました。ただ,その判断自体は尊重しているので,これからのキソケンのあり方について,現実的なビジョンが今後見えてくるといいなと思っています。

さて,今日はそんなキソケンは私にとってなんだったのかというお話です(長いです)。本題に入る前に,「キソケンってなに?」という方に少しだけキソケンの説明をしたいと思います。知っているよという方は読み飛ばしていただいて構いません。キソケンはもともと院生中心の勉強会だったものを学会の支部所属の研究部会として立ち上げたことが始まりと言われています(始まったときにはいなかったので伝聞です)。研究部会になると,部会の活動費として年間1万円,研究部会で発表することで支部紀要の投稿権が得られるなどのメリットがあります。また何よりも,勉強会は自らの意志で継続的に活動することが難しく,立ち上がっては消え,立ち上がっては消えを繰り返すことにしないためにも,研究部会という名目で活動していたというのも大きな理由だったと聞いています(はじまったとk)。この最後の意味では,キソケンがあることで,外国語教育の基礎的な事を勉強する場ができ,学年や大学を超えたネットワークも広がるなど,規模は小さくとも続けていくことにメリットはあると思っています。

で,私にとってのキソケンは,なんでもできる公園みたいなところでした。(比喩的な意味での)学校のグラウンドはやれ野球やサッカーなどの球技はダメだ,関係者以外は立入禁止だ,など色々な制限があります。でも,キソケンでは野球もできればサッカーもできる。自分たちが来てほしいと思う人たちに来てもらえる。そういう場所だったように感じています。

具体的に言えば,年次例会の基調講演あるいは不定期開催の特別セミナーで話を聞きたい先生をお呼びすることができるというのは,個人ではなかなか難しいことです。研究部会の例会の基調講演という名目があるからこそ,自分たちが話を聞きたい先生方をお呼びして60-90分のお話を聞けるのです。しかも無料で。これには,第2回年次例会以降,リアリーイングリッシュ株式会社様,第5回年次例会ではセンゲージ ラーニング株式会社にもご支援いただいたおかげです。「呼びたい先生を呼べる」ということの裏側で,「大学院生がここまでやるかぁ」というようなお腹の痛いメールのやりとりや懇親会でのやりとりを何度もしたことは事実です。

また,会場の問題もありました。学会目的での使用には使用料が発生する大学も最近では多く,部会費の数倍の会場費が必要となるということもありました。研究費で拠出することもできず,誰かが自腹を切ってまでそんなことやるのか?とも思いますし,かといって会場費がかからないからという理由で日々の業務でお忙しい先生に「会場を使わせていただきたい」というのも忍びないし,会場設営などをお手伝いいただいたりするのも申し訳ない。そんな状況でした。

つまり,「割と背伸びしすぎた」しわ寄せが下の世代にいってしまったのでした。私としては,背伸びしていて足攣りそうだったとも思いますが,それもポジティブにとらえています。院生がこんな経験はなかなかできないし,そういう経験をしたことが今後にも生きてくるだろうというように。いずれは「大学院生だから」というお守りもなくなってしまうわけで,そのときに強く生きていけるだけの力はついたのかなと思います。とはいっても,その負担が開催して得られるメリットよりも大きいと感じられるのなら,あえて負担しなくてもよいことでしょう。その時間で別の生産的なことはいくらでもできるでしょうから。

「なんでもできる場所」ということについては,自分の中にあった問題意識を形にできる場所というのもありました。「自己満足」と言われれば「そうでしたすみませんでした」という他ないのですが,第4回の若手シンポジウム,第5回のキャリアパス座談会は,私がやりたいと思っていたことを形にしたものです。どちらも,早稲田大学の石井雄隆先生に多大なご尽力をいただきました。若手シンポジウムは,自分たち世代(80年代後半生まれ世代)が教育実践を語る場を作りたかったというものです。学会での研究発表は院生時代から盛んにやられていても,自身の教育実践について発表する機会はあまり多くないように思っていたからです。ですが,そういう若手でも授業運営については信念をもって取り組んでいるはずで,そのことを話す機会を作りたかったのです(実は最初は若手論者バトル的なことを考えていましたけど)。はじめから狙っていたわけではありませんが,結果的に若手シンポジウムの登壇者が大修館の『英語教育』でリレー連載をすることになり,「やってよかったな」とホッとしました。キャリアパスについても,企画していた時点では「そういう話は表立ってしづらいし,表立ってできることはあまり役に立たない」みたいな意見をいただくこともありました。実際にやってみて,当日はフロアからやウェブ上でのコメントも活発でした。報告論集に書き起こし原稿を載せてありますので,そちらの反応はこれからかなと。私としては,関係者の皆様にご協力いただいたことに感謝しつつ,それでもやって無意味だったというような評価はしていません。もちろんもっと良く出来たかもしれませんが。

最後に,報告論集についても,「書きたいことを書いて載せられた」という点で自分にとっては良かったです。私は2014年度から2016年度まで,つまり私が博士後期課程に在籍している間は毎年1本を報告論集に投稿していました。キソケンの報告論集は査読なし扱いなので,査読なしだから出しても意味がないというように思う人もいるかもしれません。それはそれで有りだと思います。ただ,私にとってはだからこそ,「書いて残しておきたいもの」ではあるけれども「ジャーナル論文にするような性格のものではないようなもの」を書いて出すのにちょうどよい場所でした(そういうアイデアが当時割とあったとも言えます)。例えば,2014年度には「実験研究の過程と手法のよりよい理解のためにーマイクロリサーチ体験という試みー」と題した論文を出しました。これは,2014年度に静岡で行った学生向けのワークショップについてまとめたものです。マイクロリサーチ体験というのは,事前テスト-処遇-事後テスト-分析-結果-議論といった一連の流れをその場で実演し,研究の進め方についての理解を深めるというものでした。これは,キソケンのメンバーで行ったWSであったので基礎研論集に出したということもありますが,例えばどこかの学会誌に出そうとしたとしてもどの枠で出せばいいのかわかりません。ただ,どうしてもやって終わりではなく文章として形にしておきたかったのです。

2015年度は,「外国語教育研究における二値データの分析ーロジスティック回帰を例にー」というテクニカルレポートを書きました。これは,当時自分で勉強していたことをまとめたかったことと,Rのコードとともに残すことで自分の後輩にも読んでもらいたかったという意図がありました。院生時代にもデータ分析に関する相談を受けることは多く,その際に一般化線形モデルや一般化線形混合モデルを使ったらどうでしょうということがしばしばありました。そのときに,もちろんそれに関する書籍を紹介することもできましたし,グーグル検索すればロジスティック回帰に関する記事はたくさん見つけることができます。ただ,外国語教育研究の例で,Rのコードとともに,ということになるとなかなか例がありませんでした。そこで,「この論文がウェブで無料で公開されていますので読んでください」と言いたかったということです。これも,もちろんmethodological reviewというような形でジャーナルに投稿することもできたかもしれません。私にはその力はなかったというのもありますが,そこにリソースを割くよりも手っ取り早くpublishしたかったというのもあります。

2016年度は査読付き雑誌に2回落ちた論文を横流しする形で出したので,それまでのものとはやや性格は異なります。ただ,これも「教育実践について形になった論文をとにかく出したかった」ということと,同じような研究をやっている方々に読んでもらうためにオープンにウェブで公開したかったということが理由です。実際,自分も関わったプロジェクトに関する論文で引用したりもしました。草薙さんと共著で書いた「外国語教育研究における事後分析の危険性」という論文も,読まれる価値はあるけれども,学会誌等の投稿規定にはそぐわないだろうということがあって基礎研論集に書きました。

さて,長くなってしまいましたが,例会にしろ,論集にしろ,私は自分が運営として携わりながらもこうしたキソケンの活動を自分の研究活動の幅を広げるために大いに有効活用できたと思います。もちろんそこに色々な人達の協力と犠牲があったわけなのですが。キソケンは私にとってはそういう自由な表現ができる場所だったということです。週例会にも「自分を成長させるためにはどんな場所であるべきか」という視点があればいいなと思います(今はないということではないですが)。どんなことでも,義務感にかられてやるのは長続きしないものですし,活動自体も有意義なものにはなりにくいです。とくに学年が上になってくるとどうしても「初学者に教えるDの院生」的なことになりがちです。もちろんそこにもたくさんの学びの機会が転がっていることは間違いないのですが,一歩間違うと「なんでこんなこと教えてやらないといけないのか。なぜこんなことも知らないのか。時間がもったいない」となってしまいます。そうならないためにも,「自分の学びはどこにあるのか」という視点を全員が持って活動していけると,たとえ規模が縮小しても有意義な活動を続けていけるのではないかなと思います。そして,そういうことは院生時代だからこそできる機会だなとも就職した今は思います。

ちょっと説教臭くなってしまいましたが,後輩に向けたエールということでお許しください。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

ライティングの授業

外国語学部向けのライティングの授業で,授業内の学習とは別に毎週2編のライティング課題を出すことになっています。そのうちの1つではナラティブ・ライティングを書くことにして,掲示板に学生がそれぞれ書き込んでコメントし合うようにしています。最初の1つとか2つはこれまでに扱ったことのあるトピックでよかったのですが,毎週となるとなかなか考えるのもめんどくさい。ということで,ナラティブ・ライティング向けのトピック集がないかなとググったらちょうど良さそうなものがあったのでこちらから選んで毎週書いてもらっています。

500 Prompts for Narrative and Personal Writing – The New York Times

色々なカテゴリはありますし,トピックの選び方によってはある程度頻出しそうな文法項目を狙うこともできそうですが,あまりそういう考え方では選んでいません。文法の話は授業で書いているもののフィードバックとしてしていますし,(a) 英語を書くことに慣れることと,(b) クラスメイトと英語でコミュニケーションすること,(c) 色んな意見に触れる機会を作るということ,の三点をこの課題の主眼にしようと決めたからです。

フォーラムでは匿名にしていて,私だけが全員の名前を見れるようにしています。個人的な話などは名前を明かしてしづらいかもしれませんし,逆に誰が書いたかわからないほうが色々な人とコミュニケーションする環境になるかなと思ったからです。今のところ,匿名性があることによるネガティブな影響は見られていません(教員には見られているので下手なことはできないということもあるかもしれません)。

1つ困っていることは,やっぱり書きっぱなし状態というのはなんだかなあということです。フィードバックしたらその効果があるとは限りませんが,やっぱり読んでいると「ここはちょっとなあ」というのも出てきます。それを見ないふりするのもはばかられますが,かといって授業以外で毎週2編書かせてフィードバックなんてやってたらえらいことになってしまいます(一応簡単なコメントはしますけど)。ちなみに,2編のうちのもう1編はTED TALKの紹介文を書くということにしています。こちらは特にコメントし合うことは義務付けていませんが,そうした方が良かったかなとも思っています。

フォーラム上で書かせると,LMSの特性上個人として書いたものを蓄積し,それを振り返ることが難しくなってしまいます。そこで,フォーラム上で書いたものをcsv形式でダウンロードし,そこからコメントだけ除外してもとのエッセイのみを抽出してWordに差し込み印刷して返すということにしています。そうすれば,10数編の自分の書いたプロダクトが手元に残ることになるので,あとから振り返ることもできます。

というわけで,今まで特定のスキルに特化した授業を持ったことがなかったのと,今まで自分が教えたレベルよりもかなり高いレベルの学生を教えているので,試行錯誤の毎日です。学生に助けられながらなんとかやっています。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。