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タスクタイプとengagementの関係

久しぶりに論文の簡単なレビュー的なものを残しておきます。下記の論文です。

書誌情報
Dao, P. (2019) Effects of task goal orientation on learner engagement in task performance. International Review of Applied Linguistics in Language Teaching. Advance Online Publication doi: doi.org/10.1515/iral-2018-0188

ざっくりとした概要

独立変数

convergent task (意思決定タスク)とdivergent task (意見交換タスク)の2種類
 

従属変数

  • cognitive engagement: idea unitとLanguage Related Episode (LRE)
  • emotional engagement: タスク遂行中に楽しんでるかどうか(笑ったりしていると1とカウントされる)
  • social engagement: 相手の発話への貢献(acknowledging, repeating, commenting, developing each other’s idea, or providing backchannels)
 
これら3つの変数は,全体のターン数で割って比率として分析しています。この他にもemotional engagementについては質問紙調査を実施しています。(5項目で10ポイントのリカートスケール)
 
例:
  • I felt enjoyable when interacting and doing the task
  • I felt interested when interacting and doing the task
  • I felt bored when interacting and doing the task (おそらく逆転項目)

詳細に見たかった部分

 
どんなタスクをやったのかというのが一番気になるところでしたが2つのタスクはそれぞれ次のようなものです。
 
 
意思決定タスク
自分たちの通う大学の問題点をいくつか挙げ,それに対する解決策を提示する。タスクの最後に,問題点と解決策をリストアップしてレポートを書く。問題点と解決策については合意が必要。

意見交換タスク
ペアの相手と共同経営することになった新しいビジネスについて,オンラインショッピングのシステムを作るか,実店舗での店頭販売をベースにするかについてのディベートタスク。タスクの最後に自分の主張の根拠となる理由と,相手の主張に対する反論をリストアップし,それをもとにしてどちらが良いかについてのレポートを書く。論文中には記されていないが,おそらく学習者はランダムにどちらかの立場に立って議論するように求められ,最終的なレポートについても決められた立場から主張を述べなければならないことになっている。2つのタスクの比較については下記の表参照。

 

 
 
Outcome optionの”opened outcome”というのは,答えが決まっていない(学校の問題点や,オンラインショッピングのほうが良いと主張する理由等については学習者の考え次第)という意味で,「誰が犯人かを推測する」,「バラバラの物語の一部を正しい順序に並び替える」といった答えが決まっている問題解決型のタスクとは異なるという意味(だと思われます)。
意思決定タスクは合意に向かう議論になりすが,意見交換型タスクは自分の立場を主張し,相手に反論するだけで,合意形成は求められないというのが大きな違いです。この2つのタスクについて言いたいことがあるのですが,とりあえずそれは後で述べるとして,結果のまとめとして下記の表を見てください。
 
 
 
 
2つのタスクを比較して,統計的な有意差が認められたのはcognitiveとsocialのみでした。emotionalについては,タスク中の発話に基づく分析も,質問紙に基づく分析(本文中のTable 3)もともに統計的な有意差は認められず。この結果は,goal orientationがdivergentかconvergentかでタスク中のやりとりに違いが認められるということを示すとともに,Pica et al. (1993)で言われているように,divergent型の意見交換型タスクは学習者のインタラクションを促進するかという観点において”least effective”であるということを示していると著者は結論づけています。
 
 
LREについては,意思決定タスクのほうが高いという結果が出ていますが,そもそもの回数が少ないので結果の解釈には注意が必要だと述べられています。意思決定タスクでも,1回のタスク中(10分)で平均して2.44回しかLREは出現していません(しかもSDが平均値に近いくらいの値なので,0回というペアもかなりあったことが推測されます)。
 
 
Emotional engagementについては,goal orientationが違うことはあまり影響しないという結果でした。意見交換型のタスクでも,質問紙の結果では10段階で平均8.2(意思決定タスクは8.45)ですから,どちらのタスクもemotional engagementは高いのだろうと思われます。ただし,どちらもSDが5を超えている点には注意が必要になります。
 

タスクの問題点

意見交換型タスクが意思決定タスクに劣ったというのは,予め立場が決められていたことが問題なのではないかと思います。自分が与えられた立場に同意できればともかく,ディベートの場合必ずしも自分の意見と一致する立場で主張を述べなければならないことも多く(コレ自体はcritical thinking的な意味で言えばそこまで問題とも思わないが),それがengagementを低くしてしまったという点もあるように思います。ディベートはどちらの立場からも意見を述べられるようなトピックを扱うのだと言われたらそれはそうかなと思いますが。
 
 
また,意思決定タスクが自分たちの学校についての問題であるのでトピックに対する親密度も関係があったのではないかという点も指摘ができるかもしれません。モノローグタイプのタスクではありますが,トピックの親密度が高いほうが発話が豊かになるという指摘もあります(Qiu, 2019)。
 
 
意見交換型はビジネスの問題で,普段からこの問題に関心がある学生だったのかどうかがわかりません。ビジネス系の学生であれば背景知識も豊富でたくさんのidea unitが出てきたでしょうけれど,そうではない場合にこの問題を語るのは難しい気もしますし,英語の熟達度的にもこちらのほうが専門的な用語が多く必要となってくるのではないでしょうか。もっとも,p.7のセクション2.4のすぐ上のパラグラフで
 
With regard to practical reasons, both tasks were included in the learners’ syllabus and course materials, and the teachers of the participants reported to have used them frequently in their previous teaching activities. The two task topics (university issues and shopping) matched the themes covered in the learners’ theme-based course materials. To reduce a possibility that task topic might have impacted learner engagement, the two topics were selected based on the informal survey that reported university and shopping topics as the learners’ two most favorite topics.
 
という記述はあります。査読者に指摘されたのか,あるいは最初から書いてあるのかは定かではありませんがトピックの親密度という観点についてはディフェンスしてあります(つまり,著者もそういうことを言われるだろうという認識はある)。
 
 
とはいえ,あえてトピックを変えなくとも学校の問題点と解決策というトピックに固定して,意思決定型は合意を求め,意見交換型はおのおのが思う問題点と解決策をペアでシェアするという構成でもよかったように思います。というか,そちらのほうが「意見交換型」としては個人的には問題なく受け入れられます。ただし,debateという相手への反論が要求されるようなものでなければ,今回観察された以上に意思決定型との差が大きくなってしまうかもしれないとも思います。debateという形式を取ることで,相手の言ったことに対してただ単に「へー」で終わらせることができなくなっているという点はあるでしょう。そうした点で,合意を求めずともインタラクションが活発になるように仕組むための工夫がdebateを持ち込むという結果になったのかもしれません。
もう一つ個人的なことを言えば,ディベートという形式を取らない私が考えているような意見交換型タスクであれば,多様な意見がかわされればかわされるほど盛り上がることが見込まれるので,2人よりは3人,3人よりは4人というグループ構成で行ったほうが議論が盛り上がるのではないかと思います。1人で様々な角度から物事を分析的に考えて意見を提示できるような学習者同士のやりとりであれば2人でも議論は大いに盛り上がるでしょうけれど,大学生1年生や2年生でもそうしたことが2人で成立することがそこまで一般的に当然として考えられるとは言えないと思うからです。
 
 

この論文のポジティブな点

とまあいろいろ言いましたが,この論文の著者の狙いとは違うかもしれませんが,この論文を自分がポジティブに受け止めている点もあります。それは,タスクに関わる変数ではなく,タスクのタイプを主題として取り上げていることです。もちろん,上のTable 1のようにタスクをある観点(変数)で見たときに違いがあるということではあるのですが,実際にはdivergent-convergentという2つの異なるタイプのタスクを比較しています。これまでのタスク研究は,良くも悪くもタスクを操作する際の要因に着目して細かく検証することが多かったように思います。それも意味のあることで,準備時間の有る無しであったり,タスクの難易度を操作してみたり,というのは教育的示唆という観点でも有益でしょう。これらの要因は教師が操作することができるわけですから。一方で,現実的にタスク・ベースのコースを作ろうとシラバスを考え始めたとき,そのベースになるのはタスクを調整する変数ではなく,どのようなタイプのタスクにどのような順番で取り組ませるべきなのかということになるのではないかと思います。直感的に,意思決定タスクと情報伝達タスクを比較したら前者のほうが難しいから情報伝達が先にくるべきだろうのようなことは考えられます。ただし,タスクタイプの観点から見て,タスクの難しさやその要因を整理するということについていえば知見の蓄積がまだまだ乏しいように思います。

私が今関わって作っている教材もタスクタイプごとに整理していますが,タスクタイプという切り口は直感的に捉えやすく,異なるタスクの比較が見えやすくなります。そういうタスクのタイプという要因を正面から取り扱っているという点で,この後に続く研究が楽しみになってくるかなと思っています。ただし,従属変数のengagementについてはもう少し何か他の変数がないのかなということを思ったりしています。

おわりに

タスク系に正面からタックルした研究というのをなかなかできていないので,こういう論文を参考に何かできないかなと考えたりしています。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

 

参考文献
 
Pica, T., R. Kanagy and J. Falodun. 1993. Choosing and using communication tasks for second language instruction and research. In G. Crookes and S. M. Gass (eds.), Tasks and language learning: Integrating theory and practice, 9–34. Clevedon: Multilingual Matters.

 

Qiu, X. (2019). Functions of oral monologic tasks: Effects of topic familiarity on L2 speaking performance. Language Teaching Research. Advance Online Publication. doi:10.1177/1362168819829021

 

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「意思決定タスク」の難しさ

ライティングの話が多かったので,今回はスピーキングの話。

タスクのタイプには情報伝達・ナレーション・情報合成・問題解決・意思決定などがありますよね。といってもわかりにくいかもしれませんが,一言でタスクと言ってもそれが求めることによっていくつかのタイプに分類できるのではないかなという話です。タスク・タイプの詳しい解説については,下記の論文をご参照ください。

松村昌紀(2017)「タスク・タイプの理論的基盤と学習者の言語使用」『中部地区英語教育学会紀要』46, 55–62. doi:10.20713/celes.46.0_55

意思決定タスクとして有名なのは「無人島タスク」で,「無人島に持っていくものをみんなで相談して決める」というもの。これが大筋で、どういう経緯で無人島に行くことになったのか,何個まで無人島に持っていくことができるか,その無人島は一体どんな場所なのか,などのコンテクストをうまく設定することで,リアリティを持たせるとともに議論に一定の方向性を持たせたり,持ち物を決める際のリーズニングのベースとして機能させたりします。

意思決定タスクのゴールは「合意」で,話し合いの中で意見を1つに集約することが求められます。無人島タスクなら,「1つだけ持っていける」という制限だとしたらその持ち物を1つに決めることができればタスクが達成できたと判断することになります。

私も授業でよく意思決定タスクをやることがあります。授業で使っているテキストに関連させた内容にすることが多いのですが,実際にタスクをやらせると,「合意する」というのは結構ハードルが高いのだなということを思い知らされます。だからこそ,タスクを配列することになった時には意思決定タスクは後ろの方にすることになるんですけどね(余談ですが,実際にゼロからタスクを構想したとき,1番作りやすいのは意思決定タスクだと個人的には思っています)。

例えば,「4人の教員採用候補者の中から1人選ぶ」というタスクをやるとします(R.Ellis, 2003に例が載っています)。この時,目の付け所って色んなところにあるんですよね。というかそうしないとそもそもタスクとして盛り上がらないわけです。みんながみんな「絶対この人でしょ」みたいになってしまえば,議論した上で合意形成するというプロセスが必要ないわけですから。ところが,そうやって意見が割れるように仕組むところまではうまくいっても,それをすり合わせるのはなかなか難しい。教員側としては、たくさん議論してほしいわけですから,簡単に誰かの意見に同意して議論を終わらせるみたいなことだけはどうしても避けたいと考えます。そうすると,「誰かの意見に簡単に同意できないからとにかく自分の意見を貫き通す」ことになってしまいます。しかし時間内にどこかで合意しないとタスク達成にならないので,どこかで誰かが折れて1つの意見を最終的に採用することになります。この「折れる」とき,採用される意見に納得していて,その意見を出した人がみんなを(または2人で取り組んでいるのなら会話相手を)説得したというのならそれでいいなと思います。ただし,やり取りを聞いていると,その議論がかみ合わずに平行線になって止まってしまい、埒があかないからどちらかが折れて合意するという流れが圧倒的に多いように感じています。

もちろんタスクの設定の仕方の問題もあるでしょうし,学生の言語的なレベルの問題もあるでしょうし,言語に関わらず議論するスキルの問題もあるかもしれません。原因が1つに絞られるとは思っていませんが,とにかくこの意思決定タスクというのは難しいということが,この1年間スピーキングの授業をやっていて思ったことです。合議によって意思を決定するというゴールに到達するためには,どのようなサブゴール(cf. タスクにおける”sub-goal”という概念)があるのかなというのも考えなくてはいけないかもしれません。それが明らかになれば,ある程度誘導が可能だからです。ただ,それを事前に教えるというのはタスクっぽくなくなってしまうので,それもやりながら徐々に浸透させていくような工夫が必要になるかなと思います。

授業で「意思決定タスク」をやるときに,気をつけているポイントはありますか?ということをみなさんにぜひ聞いてみたいです。

なにをゆう たむらゆう

おしまい。

モデルの提示と意味交渉

学生と英語でやりとりをしていて,正しい形をどう示せば良いのか,また,それと同時にどうやって意味のやりとりをすればよいか,悩ましく感じることがある。

学生同士の交流を目的に,相手のことを知るための質問をたくさんするというようなことをやった時のこと。

沈黙しているペアがいたので,割って入った。

例として与えていたインプットの中に、”Do you like coffee?”というのがあった。

それで,以下のようなやりとりになった(Tは私でSは学生)

T: Do you like coffee?

S: No

T: Oh, you don’t like coffee?

S: えっ,You don’t like coffee

私の意図はいわゆるcomprehension checkのようなものだった。それにもかかわらず,学生は私の発話を修正フィードバックだと受け取ったようで,おうむ返しで私の発言をそのまま繰り返した。

私の言い方がなにか誤りを暗示してしまったのかもしれないが,そんな意図はまるでなかったのでこちらがむしろ驚いた。リピートアフターミー病(いま作った)というか,教師の発話は基本的に正しい形を与える役割で,それをそのまま繰り返せば良いという訓練の成果なのだろうか。

確かに,「なんていうかわからん」と聞かれれば正しい形を与えることもしばしばある。もしかすると,教室内で教師と学生が英語で意味のやりとりをしなければ,上の例のようにモデルの提示的な発話と,単なる意味のやりとりを取り違えたりする必要はないのかもしれない。しかし,有意味なやりとりが圧倒的に足りないほとんどの学生にその機会を保障できるほとんど唯一の場所が教室内であるとすれば,できる限り英語で意味のやりとりをしたい。それが私の英語教師としての信念である。

先ほどの続きは

T: No, no. I just repeated what you said. You did not make a mistake. Okey? So, you don’t need to repeat after me.

S: あっ、なに、そういうこと?はいはい

といった感じ。

続けてちょっとしたギャグで”Do you like beer?”と同じ学生に聞いた。

T: Do you like beer?

S: えー!笑 まだ(20歳じゃないから)飲めんし。(隣のクラスメイトに対して)なんて言ったらいいの?No drink?

S2: can’tじゃない?

T: I know, haha. You can’t drink.

S: You can’t drink.

T: No, no. For me(自分を指して), YOU(学生を指差して) are you, but for you, you are I, so you say “I can’t drink”

S: あー,I can’t drink.

この場面では,「なんて言ったらいいのか」という状態の学生に対して、私は意味のやりとりを続けながらcan’tの使い方(can’t drink)を提示した。私から見れば話し相手の学生は二人称なのでYouとなり,”You can’t drink”と発話したわけだ。それを学生は「”You can’t drink”といえば良い」と勘違いしてしまい,そのままリピートアフターミーしてしまったわけだ。

私がここで、”You should say, ‘ I can’t drink'”と言っていたらよかったのかもしれない。それをそのまま繰り返せば良いからだ。しかしこれではいつまで経っても教師の言ったことをそのままなにも考えずに繰り返すことにしかならない。私の発話が単純な意味交渉の機能を持つことはいつまでも学生に伝わらないし,そうでなければ私の発話の意図や意味内容を理解しようとはしないだろう。

彼らにとって,教師の発話する英語の意味を理解して会話しよう(仮に返答が日本語であっても)という経験が圧倒的に足りないのだ。

私の昨年度までの経験では(あくまで経験)、これも慣れの要素が多分にある。英語が苦手な学習者であっても,英語で話しかけられる経験を積めば積むほど,私の発話が意味のやりとりを目的としていることを理解し(というより私の発話内容により注意を向けるようになり),リキャストのようなフィードバックを出してもおうむ返しをしたりはしなくなったと思う。例えば,過去の出来事に対するライティング課題中のやりとりで

S: センセー私この前温泉行ったんですよー(worksheetにはI go to hot springと書いてある)

T: Oh, you WENT to a hot spring? Where?

S: あーyes, yes I went to Gifu

のような感じである(確かこんなやりとりがあったと記憶している)。教師としては涙ちょちょぎれる(死語?)ような美しきアップテイクである。

ただし,先ほどの例と違うのは,この例の学生はそもそも最初から私と意味のやりとりをしようとしている点である。

どうしても机間巡視している最中は,意味交渉とモデルの提示が入り混じることになってしまうので,混乱を招きやすいのかもしれない。しかしだからといって,ブレイクダウンが発生した瞬間に日本語に切り替えるようなことはしたくない。諦めは大事だが、意味交渉とはブレイクダウンが起こった時にこそ発生するものであるし,私の試行錯誤で彼らにとってのcomprehensible inputを提供できるか否かが決まるわけなので,プロとしてその技を常に磨きたい。

さてあと残り12回しかない授業がどうなるか。毎週火曜はネムレナイ
なにをゆう  たむらゆう。

おしまい。

久しぶりに「英語で」授業をちょっとだけやった話

どうもこんばんは。昨日のNagoya.R #12のまとめもしておきたいところなのですが,金曜日にやった授業の話を。

ついこの前に福田さんに授業を見に来てもらって,その感想を書いていただいたりしました。

彼のブログ記事はこちら→ https://fukutajunya.wordpress.com/2014/11/30/%E6%8E%88%E6%A5%AD%E8%A6%8B%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%84%9F%E6%83%B3%EF%BC%91/

その中でも言及されているのですが,後期は単語テストとリーディングをつなげるような授業をやっています。毎週単語テストをやって,前週に単語テストに出た単語が出てくる物語文の読解をやるという感じ。物語文は私自身が毎週書き下ろしています。主人公の名前が私の名前で,妻がいて不倫しているという設定ですw

普段はスクリーンのある大きな教室で授業をしていて,2時間続きのうちの後半ではTED動画を見ながらリスニング活動をやっています。ところが,金曜日の授業に行くと,いつもの教室が使えないとのこと。おいおいそりゃもっと早く言っておいてくれなきゃ困るよスクリーン使えないとできない授業をやっているからわざわざ大きい教室でいつもやっているんじゃないかと思ったりはしましたが,そんなこと言っても仕方ないので急遽別の活動をやることに。

授業開始まで30分というところで私が思いついたのは,物語文を素材にした活動でした。毎週やっている物語文(前週までで9話)を順番がわからないように1枚ずつ印刷して,それを読んで4コマ漫画にまとめてからコマを描写するライティング活動です。ただしそれだけだと90分はもたないということで,それぞれに1話ずつをランダムに配布するようにしました。それぞれがまとめた文章だけをもとにして,全員で協力して正しい順番になるように並べ替えるという感じ。これを英語でやろうということです。

まずは各自がそれぞれのエピソードを読んで,まとめる作業。話し合いの段階では元の文章は回収することをあらかじめ伝えておきました。

完全に思いつきだったのであまり細かいことは考えていませんでしたが,今考えると,先に文章から4コマだけを作らせて,文章を回収してから漫画のサマリーを書くという順序にすればよかったなと反省。あるいは読ませて回収してから書かせるというのでもよかった。もう少し難易度を下げるとすると,例えば各コマに対してキーワードを3つだけ書いてよいとかにしても良かったのかも。そしてそれをもとに文を書かせるという。

その後に順番を並び替えさせるにあたって,どういうスタイルにするかは悩みました。全員で9人しかいないとはいっても,9人で話し合わせるのは議論が活発にならないだろうし,かといって半分に分けるとすると,分けた4人の順番には穴があくので(例えば1話と4話と7話と9話みたいになる),それをもう半分と合わせるたときに順番を考えるのが難しいかなと思ったり。今考えると,先にグループを分けて前半組には1~4話,後半組には5~9話みたいにする手もあったなと思います。そうすれば,グループ内での並び替えはシームレスになるので。結局その場でいいアイデアが思い浮かばずに9人で1つにすることに。

全員が個人でまとめる作業に入っている間,黒板に話し合いで使えそうな英語表現を書いておきました。

  • 順番を表す:first, second, third; then, finallyなど
  • 前後関係を表す: before ~, after~

みたいな感じ。あとはfollowやprecedeなんかも書いておいて,全員がまとめ終わったら表現をちょっと解説。最初の”I’ll talk about~”や最後の”That’s all.”なんかも書いておきました。本当は自由に英語でdiscussionしながらやれたらよかったんですけれど,いきなりそれはちょっと難しいと。

そんなわけで,順番に自分がまとめた英文を読み上げるような感じにしました。読んだ人が次の人をどんどん指名していく感じ。聞いている人は,メモを取って誰の次に誰が来るかを考えさせるようにしました。

全員が読み終わったあとに,「さぁみんなで考えよう!」みたいにやっても「シーン」ですよね当然。なので,私自身がコーディネーターというかオーガナイザーみたいになって,英語でみんなの意見を聞いていくようにしました。”Whose story do you think comes first?”みたな感じで。これでもシーンてなるので,指名しながらやりました。”What do you think, ◯◯?”とか言いながら。文で発話するのは難しいんですけれど,”×× first”みたいなことをいったら,”OK. ◯◯ thinks ××’s story comes first. What do you think, ××?”みたいな感じで回すと。間違ってたら”No.”とかいう学生がいたりして,”Then, who do you think read the first one?”とか聞いてみたり。何人かに聞いて同じ人の名前があがったら,その人にもう一度読み上げてもらって内容を再確認。ここでまたメモを足している学生もいました。次は誰かとか聞いてみると手をあげたりする学生がいて”Do you think your story follows ××’s one?”とか聞いていく感じ。本当なら,”Why?”とか聞いたらいいかもしれないのですが,これに答えるのは意外に難しくて,多分答えに詰まっちゃうだろうなと思ったのであえて聞きませんでした。こうやって,適宜順番を確認しながら,残っているのは誰だっけー?みたいにしつつ,最終的に1~9の順番を割り振って「ちゃんとつながったねー!」という感じでおしまい。

この活動は,「クラスメイトが読んだ内容を耳で聞いて理解する」ということと,「その情報をもとに順番を並び替える」という2つのことが要求されます。リスニングすることの積極的な意味付けをするのってちょっと難しかったりするので,一生懸命聞き取って内容をメモしていたのを見るとある程度は機能していたのかなと感じました。感想を見ると「やりがいがあった」という声や「難しかったけど,最後に全員のがつながって感動した」という声もありました。「面倒でした」という感想もありましたが…

はっきり言って一番英語力がアップする機会があったのはその場で情報を整理したり,聞き出したり,意見を求めたり,とかを英語でやっていた私自身だと思います(苦笑)。ただ,教師と学生の目標言語のインタラクションの機会って最近の授業ではあまりなかったので,新鮮ではあったのではないかと思います。「久しぶりに英語だけの授業楽しかったです」という感想もありました。インタラクションを通じたインプットを与えるのも,少人数だから結構機能するし,やらないともったいないですね。ちょっとこれからはそういうのも考えながら授業の活動を作っていこうかなと思いました(今さら…)。

なにをゆう たむらゆう

おしまい。