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スピーキングの授業の話

はじめに

私は,1年生対象の共通教養科目のListening&Speakingの授業を昨年度から担当しています。昨年度色々と試行錯誤を重ねて,今年度からはその反省も踏まえて改善できていると感じています。一方で,自分の中で授業の型はそれなりにできてきてはいるのですが,課題もそれなりに感じています。この記事では,授業の進め方と今感じている課題の両方についてまとめておこうと思います。

授業の概要

教科書はPearsonのImpact Issues2というものを使っています。版が新しくなったのですが,色々あって(学務的な意味で)新版ではなく旧版を使っています。細かいミスがちょくちょくあったりとかしておいおいと思うところもあるのですが,なんといっても掲載されているトピックというか「ネタ」がとても面白くてタスク向きなので,それが気に入って使っています。

教科書の構成はおもに,次のようなものです。

  1. 会話や語りのリスニングパート
  2. 内容確認
  3. 4人の視点からそのユニットの問題についてのopinionが提示される
  4. 主にペアやグループで行うディスカッション系のタスク
  5. スピーチ

私は授業では1しか扱っていません。2の内容確認はLMSで予習として行わせていて,授業中では教科書に載っている内容確認問題とは少し違う問題をいくつか提示してその答えに注目して聞くようなリスニング活動をやっています。そして,それ以降はスピーキングタスクのための時間です。スピーキングタスクが終わったら,どのような意見にまとまったか,どういった解決策にたどり着いたかなどを教室全体でシェアし,言語的なフィードバックを与えて授業は終了です。

スピーキングタスク

スピーキングタスクの題材は教科書で扱われているものを元にオリジナルで作っています。例えば,「クラスメイトから嫌がらせをされて困っているが,事を荒立てたくないので黙っていようとする女の子と,誰かに相談したほうがいいよと提案する友達」の話であれば,第三者の視点からこの問題を考えるタスクを作ります。2人の共通の友人という設定で,この問題を解決するためにはどうしたらよいかをペアで話し合い,お互いが納得する解決策を出せたらタスク達成というようなものです。

言いたかったけど言えなかったことリスト

授業で使うワークシートには,毎回「言いたかったけど言えなかったこと」を記入するスペースを設けています。授業中にここに書かれたものを見ながらフィードバックを決めたりしています。ただし,もちろん全部を取り上げることはできないので,あとで集めてリスト化して英訳と簡単な解説を付けたものを「言いたかったけど言えなかったことリスト」として翌週に配布するようにしました。最初はワークシートに直接書いていたのですが,同じようなことを書いている学生もいて同じことを何度も書くのは面倒だし,どうせなら全員で共有したほうが学生にとっても有益だろうと考えてこの形にしました。学生には,「自分が思ったこと」をそのまま書くのではなく,できるだけ日本語で「意味順」の形に落とし込むところまではやるように言っています(なかなか浸透していかないのですが…)。

授業の中で,同じタスクを繰り返してやることは時間の制約上なかなか難しいのですが,中には汎用的な表現も出てきたり(「絶対に嫌だ」みたいなのとか)するので,そういう表現は翌週や翌々週の違うタスクで使ってみている学生がいたりします。また,テストでは同じユニットのタスクにあたる可能性もあるので,こういったリストがあることでスピーキングテストのテスト勉強にも少しは役に立っているのかなと思っています。それ覚えさせて言わせているだけじゃんと思われる方もいるかもしれませんが,私は「覚えろ」という指導は一切していませんし,授業中に表現の口頭練習なども一切していません。ただリストを渡しているだけです(注1)。また,どの場面でどの表現を使うかは完全に学習者にゆだねていますし,会話の流れも流動的なので覚えたら必ず使う場面が訪れるとも限りません。

私が重視しているのは,なにか言えなかったことがあっても,それをワークシートに書けばフィードバックが与えられ,そこで新たなリソースを得て次に少しでも「言えた」と思える機会を増やすチャンスが与えられるということです。手間は確かにかかるのですが,学生からも結構好評なので継続してやろうと思っています。

テスト

このテキストは全20ユニットの構成なので,15回の授業やそれを通年で使うことを考えると微妙に回数が合わせずらいということがあったりします。私はむしろそれを逆手にとって,中間と期末をそれぞれ2週に渡って行うように設定しています。テストはペアでのスピーキングとリスニングテストです。

スピーキングテスト

前述のように,私の授業では,各ユニットごとにそのユニットでの話題に関連したなんらかのスピーキングタスクに取り組むことになります。テストの週では,それまでに授業でやった各ユニットのタスク(具体的にはロールプレイ型の意思決定や問題解決タスク)と同じ内容でやや性質の異なるようなタスクに取り組むことになっています。内容は似ているので表現などはそのまま流用できますが,到達すべきゴールやロールプレイの状況設定が異なっているというようなものです。

ペアは毎授業でランダムに組んでいて,テストのときもこちらがランダムに決めたペアでやってもらっています。ただ,当日になるまで誰とやるのかわからないというのは不安もあるだろうということで,テスト1週目の前の週にはテストの実施要領や評価方法の詳細(ルーブリックの観点は後述)とともに2回のテストで誰とペアになっているかのリストを渡しています。

テストを2週に渡って行うことの理由として15週の授業とテキストのユニット数の数合わせという問題に触れましたが,それよりも大事な理由があります。それは,一度ではどのタスクにあたるかでパフォーマンスが変わるという点と,ペアがランダムなのでペアの相手によってもパフォーマンスが変わってしまうという2つの点への配慮です。

中間テストまでは5つのユニットをこなしますので,5種類の中から2つのタスクにテストとして取り組むことになります(中間テスト後から期末テストまでも同様に5ユニットです)。もちろん各ユニットで難易度に差が出ないように作っているつもりですが,学生によっては内容的な親密度や自分の関心などで自分の言いたいことをパッと思いつくようなタスクとそうではないようなものがどうしても(例え内容は授業である程度カバーされていたとしても)出てきてしまいます(この問題については後述)。そこで1度きりではなく,チャンスを2回与えるというわけです。ペアの問題も同様で,さまざまな要因で話がうまく進んだり進まなかったりということは容易に起こり得ます。ただし,自分が話しやすい人とばかり話すのも私としてはいいことだとあまり思っていません。また,友達は考え方も似ている場合が多いので,特に意思決定タスクのように自分の考えと相手の考えを共有してすり合わせていく必要があるようなタイプのタスクでは情報のギャップが生まれづらいという面もあります。

こうしてスピーキングテストを2週に渡って中間と期末で行う,つまり合計で学期中に4回のスピーキングテストがあることで,学生は授業中でも意欲的にスピーキングタスクに取り組んでくれています。授業で一度も経験したことのない話題についてをいきなりテストで話すのは難しいわけですから当然です。結局,授業中でスピーキングタスクをやらせるだけだとなかなかうまくいきませんが,評価のうちの少なくない割合を占めるテストがスピーキングだということを明示し,それが授業中のタスクに基づいているものだということを繰り返し伝えていくことで,授業中の取り組み具合も変わってくるなというのを今学期は実感しています(昨年度は秋学期からこのやり方を導入)。

ピア評価

スピーキングテストでは,学生同士の評価も取り入れています。よって,ペア2組で1つのグループとして,どちらか一方がタスクに取り組んでいる場合にはもう一方のペアはタスクに取り組むペアを観察し,教員が評価するのと同じルーブリックで評価をつけるようにさせています。評価の観点は,(a) 日本語の使用,(b) 沈黙,(c) 共同的なやりとり,(d) タスクの達成の4観点で,(a) ~ (c)は0-2の3段階,(d)のみは0-3の4段階評価にして重み付けしています。これは私がタスクの達成を重視しているからです。このことはもちろん学生にも伝えています。

リスニングテスト

リスニングテストは,1週目は内容理解を中心としたもの,2週目はディクテーションのテストにしています。詳しい内容は割愛。

スピーキングテスト後の書き起こし

順番が前後しますが,スピーキングテストが終わったらリスニングテストの前に書き起こしをさせています。書き起こしの目的は主に2つあります。1つは文法的または音声的誤りに注意を向けさせることです。テスト中はどうしてもタスク達成のためのやり取りに夢中なため,なかなか言語的な側面に注意を向けることが難しくなります。そこで,録音したものを書き起こす機会を作ることで,発話の内容以外の言語的側面に注意を向けさせようという狙いです。

書き起こしといっても全てを書き起こしさせるのは時間的にも無理ですし,10分となるとかなり長くなるので作業自体もしんどくて飽きもきますので,書き起こす部分を一部分に限定する必要があります。限定するには,どの部分を書き起こすようにするかを選択する必要が出てきます。「最初の数分」というような指定ももちろんできますが,せっかくなのでもう少しこの選択に意味を持たせようと考えました。そこで2つ目の目的として,やりとりの中でうまくできた部分に目を向けさせるようと考えました。こう考えたのにもいくつか理由があります。

1つ目は,やりとりのポジティブな部分に目を向けさせることです。なんとかタスク達成できても,どうしてもできなかった部分にばかり目がいってしまうことはよくあります。これ自体は,「もっとうまくできたのに!」とか「なんでこうできなかったんだろう」のように,次への向上心があるという部分もあるので,一概に悪いことだとは思っていません。そうはいっても,うまくできたポイントに目を向けさせることで,タスク後にネガティブな感情だけが残ってしまうことを防ごうという狙いがあります。

もう1つ,いい側面を書き起こさせる理由は,教員が評価する際に聞くポイントを絞るという点です。学生には,「会話の中で,ここの部分はよくできたので,ぜひこのやりとりに注目してほしい,というハイライト部分を書き起こす」ように指示を出しています。こうすることで,「自分の意見を伝えつつ,相手の意見も尊重しながら解決策を見つけることができた」のように,やりとりの内容的な側面に学生の注意を向けさせることもできます。そして,教員が評価をする際にもその部分は特に注意をして聞くようにすることで,ある程度の採点の負担を軽減する狙いがあります。

課題

採点つらい

これが一番の悩みです。正直,ここの部分以外はかなりうまく授業設計ができてきたなという実感があります。しかしながら,どうしても36人~38人のクラスでスピーキングのテストをやろうとすると個別に呼んでというような方法はなかなか時間的にも制約が厳しく,それ以外の時間を有効活用するのも現状では難しいです。そうなると,授業中に録音させたものをあとから聞いて評価するということをせざるをえません。まだペアにしているので18ペアの10分間で済んでいますが,それでも2週に渡ってやっているので,採点にはかなりの時間がかかります。コメントは聞きながら書いているのでそこまで負担には感じませんが,15回目にやるテスト以外は翌週に結果を返す必要があるので1週間という時間的制約の中で採点するのはどうしても自分の時間の他の部分を犠牲にする必要が出てきます(注2)。LMSを活用して効率化を図りたいなと思う部分もありますが,LMSではペアリングして同じ採点を同時に2人に与えるというところが不得意なのでうまい解決策が見つかっていません。

課題の難易度のばらつき

前述したように,テストに用いるタスクは教科書の内容に基づくので内容的な難しさにどうしても差が出てきます。しかしながら,「難易度」を調整することは非常に困難です。なぜなら,どのような内容を難しいと思うかに個人差があるからです。ある学生はUnit5が一番簡単だと思っていても,別の学生はそのUnit5は話しにくいと思うということは起こりえますし,実際にそういうことが起こっていると思います。教科書で扱われる内容に差があるため,それに基づいた課題を作成するとどうしても内容面やトピックに対しての親密度(どれくらい馴染みのある話か)である課題が別の課題よりも難しいと思ったり簡単だと思ったり,ということが発生してしまいます。テスト作成時にも,なるべく難易度の差がでないように工夫してはいますし,これからその精度をより高めていく努力はするつもりですが,どうしても難易度が同一のタスクを作ることはできません。

この問題の解決のためには全員が1つのタスクに取り組むということが考えられます。しかしながら,そういう形を取ることで,「1度うまくいかなくても次はもっと頑張ろう」,という2度取り組むことのメリットを失ってしまいます。私としては,難易度の問題を解消するためにテストタスクを1つにすることで生じるデメリットよりも,2回取り組むことができるということのメリットを重視しており,2回取り組むことで生じるデメリット(課題の難易度の差)についてはやむを得ないと考えています。

テスト用に教科書の内容とは関係のないものをやろうとすると,語彙や表現のレベルで授業でやったことを活かしづらくなり,授業とテストを関連付けることが難しいという別の問題も発生するため,その方向での改善も難しいかなと思っています。

ペアリングとタスクの組み合わせが複雑

ペアリングとタスクの割り当てをランダムにすると言っても,完全なランダムにはできません。なぜなら次のようなことを考える必要があるからです。

  1. 同じタスクを2週続けてやらない
  2. 同じグループの別のペアがやったタスクはやらない
  3. 同じ相手と2週続けてやらない

1をしてしまうと,相手は違うとはいえ同じタスクを繰り返す方が設定や流れがわかっている分難易度が下がってしまうのであり得ません。また,2についても誰かがやっているのを見ていればやりやすいでしょう。もちろん,原理的には1週目が終わった時点で自分が当たらなかったタスクをやったクラスメイトに内容を聞くことは可能です。そうではあっても,やりとりをすべて聞いた状態と内容だけ聞いた状態ではやはり違うと思いますので,前者は現実的に対応可能なので対応するが後者は目をつむるというようにしています。3は内容的な側面以外でのやりやすさへの考慮です。現実的には,学期の中で1度でもペアになったことがあるのとないのとでも違うと思いますが,さすがにそこまでコントロールすることは不可能なのでその部分にも目をつむっています。また,上の1~3を考慮すると,2週目にスピーキングテストに取り組む際には自分がやったものと相手がやったものは絶対にあたらないことになるので,2週目にどのタスクに当たるのかは3つに絞られます。そうした意味でも2週目のほうが対策を立てやすくなりますが,この点についても全員が同じ条件なので学生間の不公平は生まれないと考えています。

3はそこまで確認が難しいわけではないのですが,誰がどのタスクをやったのか,あるいはやっているのを見たのかを確認して,1と2の条件を満たしてタスクを割り当てるのは多少めんどくさいなと思っています。RやExcelの関数を駆使してある程度自動化できないかなと考えたこともあるのですが,ぱっと思いつかないので手作業でやっています。この部分ももっと楽にできたらいいのになというところで,課題だなと思っています。

おわりに

この記事では,私が2018年度,2019年度と取り組んできた1年生向け共通教養科目のListening&Speakingの授業について書いてみました。タスク中心にするという点と,指導・テスト・評価に一貫性をもたせるという点を意識して作ってきて,ある程度形になってきたかなと思っていますが,まだまだ課題も多いです。余談ですが,テキストが来年度は新版になるので,ベースは維持しつつタスクやテストは1から作り直す必要があるので来年度はまた少し大変になるかもしれません。授業での気づきを反映させながら,自分自身にとっても学生にとっても良い授業になるように,これからも考えていきたいなと思います。

こうして書いていて,Twitterで実践(研究)に興味なくなってきたとかつぶやいたのに「自分だいぶ実践に興味あるな」と思い始めています笑

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

 

注1. 本当なら少しくらい口頭練習してもいいかなとも思いますし,LMSとかで音声モデルを提示するだけでもやったほうがいいかなという思いは多少あります

注2. やはり採点してフィードバックして2回目はそこを改善してほしいというところもありますし,学生からしてもそうでないと何をどうすれば良い評価になるのかがわからないので2回目に臨むモチベーションも上がりにくいだろうと考えています。

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タスクタイプとengagementの関係

久しぶりに論文の簡単なレビュー的なものを残しておきます。下記の論文です。

書誌情報
Dao, P. (2019) Effects of task goal orientation on learner engagement in task performance. International Review of Applied Linguistics in Language Teaching. Advance Online Publication doi: doi.org/10.1515/iral-2018-0188

ざっくりとした概要

独立変数

convergent task (意思決定タスク)とdivergent task (意見交換タスク)の2種類
 

従属変数

  • cognitive engagement: idea unitとLanguage Related Episode (LRE)
  • emotional engagement: タスク遂行中に楽しんでるかどうか(笑ったりしていると1とカウントされる)
  • social engagement: 相手の発話への貢献(acknowledging, repeating, commenting, developing each other’s idea, or providing backchannels)
 
これら3つの変数は,全体のターン数で割って比率として分析しています。この他にもemotional engagementについては質問紙調査を実施しています。(5項目で10ポイントのリカートスケール)
 
例:
  • I felt enjoyable when interacting and doing the task
  • I felt interested when interacting and doing the task
  • I felt bored when interacting and doing the task (おそらく逆転項目)

詳細に見たかった部分

 
どんなタスクをやったのかというのが一番気になるところでしたが2つのタスクはそれぞれ次のようなものです。
 
 
意思決定タスク
自分たちの通う大学の問題点をいくつか挙げ,それに対する解決策を提示する。タスクの最後に,問題点と解決策をリストアップしてレポートを書く。問題点と解決策については合意が必要。

意見交換タスク
ペアの相手と共同経営することになった新しいビジネスについて,オンラインショッピングのシステムを作るか,実店舗での店頭販売をベースにするかについてのディベートタスク。タスクの最後に自分の主張の根拠となる理由と,相手の主張に対する反論をリストアップし,それをもとにしてどちらが良いかについてのレポートを書く。論文中には記されていないが,おそらく学習者はランダムにどちらかの立場に立って議論するように求められ,最終的なレポートについても決められた立場から主張を述べなければならないことになっている。2つのタスクの比較については下記の表参照。

 

 
 
Outcome optionの”opened outcome”というのは,答えが決まっていない(学校の問題点や,オンラインショッピングのほうが良いと主張する理由等については学習者の考え次第)という意味で,「誰が犯人かを推測する」,「バラバラの物語の一部を正しい順序に並び替える」といった答えが決まっている問題解決型のタスクとは異なるという意味(だと思われます)。
意思決定タスクは合意に向かう議論になりすが,意見交換型タスクは自分の立場を主張し,相手に反論するだけで,合意形成は求められないというのが大きな違いです。この2つのタスクについて言いたいことがあるのですが,とりあえずそれは後で述べるとして,結果のまとめとして下記の表を見てください。
 
 
 
 
2つのタスクを比較して,統計的な有意差が認められたのはcognitiveとsocialのみでした。emotionalについては,タスク中の発話に基づく分析も,質問紙に基づく分析(本文中のTable 3)もともに統計的な有意差は認められず。この結果は,goal orientationがdivergentかconvergentかでタスク中のやりとりに違いが認められるということを示すとともに,Pica et al. (1993)で言われているように,divergent型の意見交換型タスクは学習者のインタラクションを促進するかという観点において”least effective”であるということを示していると著者は結論づけています。
 
 
LREについては,意思決定タスクのほうが高いという結果が出ていますが,そもそもの回数が少ないので結果の解釈には注意が必要だと述べられています。意思決定タスクでも,1回のタスク中(10分)で平均して2.44回しかLREは出現していません(しかもSDが平均値に近いくらいの値なので,0回というペアもかなりあったことが推測されます)。
 
 
Emotional engagementについては,goal orientationが違うことはあまり影響しないという結果でした。意見交換型のタスクでも,質問紙の結果では10段階で平均8.2(意思決定タスクは8.45)ですから,どちらのタスクもemotional engagementは高いのだろうと思われます。ただし,どちらもSDが5を超えている点には注意が必要になります。
 

タスクの問題点

意見交換型タスクが意思決定タスクに劣ったというのは,予め立場が決められていたことが問題なのではないかと思います。自分が与えられた立場に同意できればともかく,ディベートの場合必ずしも自分の意見と一致する立場で主張を述べなければならないことも多く(コレ自体はcritical thinking的な意味で言えばそこまで問題とも思わないが),それがengagementを低くしてしまったという点もあるように思います。ディベートはどちらの立場からも意見を述べられるようなトピックを扱うのだと言われたらそれはそうかなと思いますが。
 
 
また,意思決定タスクが自分たちの学校についての問題であるのでトピックに対する親密度も関係があったのではないかという点も指摘ができるかもしれません。モノローグタイプのタスクではありますが,トピックの親密度が高いほうが発話が豊かになるという指摘もあります(Qiu, 2019)。
 
 
意見交換型はビジネスの問題で,普段からこの問題に関心がある学生だったのかどうかがわかりません。ビジネス系の学生であれば背景知識も豊富でたくさんのidea unitが出てきたでしょうけれど,そうではない場合にこの問題を語るのは難しい気もしますし,英語の熟達度的にもこちらのほうが専門的な用語が多く必要となってくるのではないでしょうか。もっとも,p.7のセクション2.4のすぐ上のパラグラフで
 
With regard to practical reasons, both tasks were included in the learners’ syllabus and course materials, and the teachers of the participants reported to have used them frequently in their previous teaching activities. The two task topics (university issues and shopping) matched the themes covered in the learners’ theme-based course materials. To reduce a possibility that task topic might have impacted learner engagement, the two topics were selected based on the informal survey that reported university and shopping topics as the learners’ two most favorite topics.
 
という記述はあります。査読者に指摘されたのか,あるいは最初から書いてあるのかは定かではありませんがトピックの親密度という観点についてはディフェンスしてあります(つまり,著者もそういうことを言われるだろうという認識はある)。
 
 
とはいえ,あえてトピックを変えなくとも学校の問題点と解決策というトピックに固定して,意思決定型は合意を求め,意見交換型はおのおのが思う問題点と解決策をペアでシェアするという構成でもよかったように思います。というか,そちらのほうが「意見交換型」としては個人的には問題なく受け入れられます。ただし,debateという相手への反論が要求されるようなものでなければ,今回観察された以上に意思決定型との差が大きくなってしまうかもしれないとも思います。debateという形式を取ることで,相手の言ったことに対してただ単に「へー」で終わらせることができなくなっているという点はあるでしょう。そうした点で,合意を求めずともインタラクションが活発になるように仕組むための工夫がdebateを持ち込むという結果になったのかもしれません。
もう一つ個人的なことを言えば,ディベートという形式を取らない私が考えているような意見交換型タスクであれば,多様な意見がかわされればかわされるほど盛り上がることが見込まれるので,2人よりは3人,3人よりは4人というグループ構成で行ったほうが議論が盛り上がるのではないかと思います。1人で様々な角度から物事を分析的に考えて意見を提示できるような学習者同士のやりとりであれば2人でも議論は大いに盛り上がるでしょうけれど,大学生1年生や2年生でもそうしたことが2人で成立することがそこまで一般的に当然として考えられるとは言えないと思うからです。
 
 

この論文のポジティブな点

とまあいろいろ言いましたが,この論文の著者の狙いとは違うかもしれませんが,この論文を自分がポジティブに受け止めている点もあります。それは,タスクに関わる変数ではなく,タスクのタイプを主題として取り上げていることです。もちろん,上のTable 1のようにタスクをある観点(変数)で見たときに違いがあるということではあるのですが,実際にはdivergent-convergentという2つの異なるタイプのタスクを比較しています。これまでのタスク研究は,良くも悪くもタスクを操作する際の要因に着目して細かく検証することが多かったように思います。それも意味のあることで,準備時間の有る無しであったり,タスクの難易度を操作してみたり,というのは教育的示唆という観点でも有益でしょう。これらの要因は教師が操作することができるわけですから。一方で,現実的にタスク・ベースのコースを作ろうとシラバスを考え始めたとき,そのベースになるのはタスクを調整する変数ではなく,どのようなタイプのタスクにどのような順番で取り組ませるべきなのかということになるのではないかと思います。直感的に,意思決定タスクと情報伝達タスクを比較したら前者のほうが難しいから情報伝達が先にくるべきだろうのようなことは考えられます。ただし,タスクタイプの観点から見て,タスクの難しさやその要因を整理するということについていえば知見の蓄積がまだまだ乏しいように思います。

私が今関わって作っている教材もタスクタイプごとに整理していますが,タスクタイプという切り口は直感的に捉えやすく,異なるタスクの比較が見えやすくなります。そういうタスクのタイプという要因を正面から取り扱っているという点で,この後に続く研究が楽しみになってくるかなと思っています。ただし,従属変数のengagementについてはもう少し何か他の変数がないのかなということを思ったりしています。

おわりに

タスク系に正面からタックルした研究というのをなかなかできていないので,こういう論文を参考に何かできないかなと考えたりしています。

なにをゆう たむらゆう。

おしまい。

 

参考文献
 
Pica, T., R. Kanagy and J. Falodun. 1993. Choosing and using communication tasks for second language instruction and research. In G. Crookes and S. M. Gass (eds.), Tasks and language learning: Integrating theory and practice, 9–34. Clevedon: Multilingual Matters.

 

Qiu, X. (2019). Functions of oral monologic tasks: Effects of topic familiarity on L2 speaking performance. Language Teaching Research. Advance Online Publication. doi:10.1177/1362168819829021

 

「意思決定タスク」の難しさ

ライティングの話が多かったので,今回はスピーキングの話。

タスクのタイプには情報伝達・ナレーション・情報合成・問題解決・意思決定などがありますよね。といってもわかりにくいかもしれませんが,一言でタスクと言ってもそれが求めることによっていくつかのタイプに分類できるのではないかなという話です。タスク・タイプの詳しい解説については,下記の論文をご参照ください。

松村昌紀(2017)「タスク・タイプの理論的基盤と学習者の言語使用」『中部地区英語教育学会紀要』46, 55–62. doi:10.20713/celes.46.0_55

意思決定タスクとして有名なのは「無人島タスク」で,「無人島に持っていくものをみんなで相談して決める」というもの。これが大筋で、どういう経緯で無人島に行くことになったのか,何個まで無人島に持っていくことができるか,その無人島は一体どんな場所なのか,などのコンテクストをうまく設定することで,リアリティを持たせるとともに議論に一定の方向性を持たせたり,持ち物を決める際のリーズニングのベースとして機能させたりします。

意思決定タスクのゴールは「合意」で,話し合いの中で意見を1つに集約することが求められます。無人島タスクなら,「1つだけ持っていける」という制限だとしたらその持ち物を1つに決めることができればタスクが達成できたと判断することになります。

私も授業でよく意思決定タスクをやることがあります。授業で使っているテキストに関連させた内容にすることが多いのですが,実際にタスクをやらせると,「合意する」というのは結構ハードルが高いのだなということを思い知らされます。だからこそ,タスクを配列することになった時には意思決定タスクは後ろの方にすることになるんですけどね(余談ですが,実際にゼロからタスクを構想したとき,1番作りやすいのは意思決定タスクだと個人的には思っています)。

例えば,「4人の教員採用候補者の中から1人選ぶ」というタスクをやるとします(R.Ellis, 2003に例が載っています)。この時,目の付け所って色んなところにあるんですよね。というかそうしないとそもそもタスクとして盛り上がらないわけです。みんながみんな「絶対この人でしょ」みたいになってしまえば,議論した上で合意形成するというプロセスが必要ないわけですから。ところが,そうやって意見が割れるように仕組むところまではうまくいっても,それをすり合わせるのはなかなか難しい。教員側としては、たくさん議論してほしいわけですから,簡単に誰かの意見に同意して議論を終わらせるみたいなことだけはどうしても避けたいと考えます。そうすると,「誰かの意見に簡単に同意できないからとにかく自分の意見を貫き通す」ことになってしまいます。しかし時間内にどこかで合意しないとタスク達成にならないので,どこかで誰かが折れて1つの意見を最終的に採用することになります。この「折れる」とき,採用される意見に納得していて,その意見を出した人がみんなを(または2人で取り組んでいるのなら会話相手を)説得したというのならそれでいいなと思います。ただし,やり取りを聞いていると,その議論がかみ合わずに平行線になって止まってしまい、埒があかないからどちらかが折れて合意するという流れが圧倒的に多いように感じています。

もちろんタスクの設定の仕方の問題もあるでしょうし,学生の言語的なレベルの問題もあるでしょうし,言語に関わらず議論するスキルの問題もあるかもしれません。原因が1つに絞られるとは思っていませんが,とにかくこの意思決定タスクというのは難しいということが,この1年間スピーキングの授業をやっていて思ったことです。合議によって意思を決定するというゴールに到達するためには,どのようなサブゴール(cf. タスクにおける”sub-goal”という概念)があるのかなというのも考えなくてはいけないかもしれません。それが明らかになれば,ある程度誘導が可能だからです。ただ,それを事前に教えるというのはタスクっぽくなくなってしまうので,それもやりながら徐々に浸透させていくような工夫が必要になるかなと思います。

授業で「意思決定タスク」をやるときに,気をつけているポイントはありますか?ということをみなさんにぜひ聞いてみたいです。

なにをゆう たむらゆう

おしまい。

モデルの提示と意味交渉

学生と英語でやりとりをしていて,正しい形をどう示せば良いのか,また,それと同時にどうやって意味のやりとりをすればよいか,悩ましく感じることがある。

学生同士の交流を目的に,相手のことを知るための質問をたくさんするというようなことをやった時のこと。

沈黙しているペアがいたので,割って入った。

例として与えていたインプットの中に、”Do you like coffee?”というのがあった。

それで,以下のようなやりとりになった(Tは私でSは学生)

T: Do you like coffee?

S: No

T: Oh, you don’t like coffee?

S: えっ,You don’t like coffee

私の意図はいわゆるcomprehension checkのようなものだった。それにもかかわらず,学生は私の発話を修正フィードバックだと受け取ったようで,おうむ返しで私の発言をそのまま繰り返した。

私の言い方がなにか誤りを暗示してしまったのかもしれないが,そんな意図はまるでなかったのでこちらがむしろ驚いた。リピートアフターミー病(いま作った)というか,教師の発話は基本的に正しい形を与える役割で,それをそのまま繰り返せば良いという訓練の成果なのだろうか。

確かに,「なんていうかわからん」と聞かれれば正しい形を与えることもしばしばある。もしかすると,教室内で教師と学生が英語で意味のやりとりをしなければ,上の例のようにモデルの提示的な発話と,単なる意味のやりとりを取り違えたりする必要はないのかもしれない。しかし,有意味なやりとりが圧倒的に足りないほとんどの学生にその機会を保障できるほとんど唯一の場所が教室内であるとすれば,できる限り英語で意味のやりとりをしたい。それが私の英語教師としての信念である。

先ほどの続きは

T: No, no. I just repeated what you said. You did not make a mistake. Okey? So, you don’t need to repeat after me.

S: あっ、なに、そういうこと?はいはい

といった感じ。

続けてちょっとしたギャグで”Do you like beer?”と同じ学生に聞いた。

T: Do you like beer?

S: えー!笑 まだ(20歳じゃないから)飲めんし。(隣のクラスメイトに対して)なんて言ったらいいの?No drink?

S2: can’tじゃない?

T: I know, haha. You can’t drink.

S: You can’t drink.

T: No, no. For me(自分を指して), YOU(学生を指差して) are you, but for you, you are I, so you say “I can’t drink”

S: あー,I can’t drink.

この場面では,「なんて言ったらいいのか」という状態の学生に対して、私は意味のやりとりを続けながらcan’tの使い方(can’t drink)を提示した。私から見れば話し相手の学生は二人称なのでYouとなり,”You can’t drink”と発話したわけだ。それを学生は「”You can’t drink”といえば良い」と勘違いしてしまい,そのままリピートアフターミーしてしまったわけだ。

私がここで、”You should say, ‘ I can’t drink'”と言っていたらよかったのかもしれない。それをそのまま繰り返せば良いからだ。しかしこれではいつまで経っても教師の言ったことをそのままなにも考えずに繰り返すことにしかならない。私の発話が単純な意味交渉の機能を持つことはいつまでも学生に伝わらないし,そうでなければ私の発話の意図や意味内容を理解しようとはしないだろう。

彼らにとって,教師の発話する英語の意味を理解して会話しよう(仮に返答が日本語であっても)という経験が圧倒的に足りないのだ。

私の昨年度までの経験では(あくまで経験)、これも慣れの要素が多分にある。英語が苦手な学習者であっても,英語で話しかけられる経験を積めば積むほど,私の発話が意味のやりとりを目的としていることを理解し(というより私の発話内容により注意を向けるようになり),リキャストのようなフィードバックを出してもおうむ返しをしたりはしなくなったと思う。例えば,過去の出来事に対するライティング課題中のやりとりで

S: センセー私この前温泉行ったんですよー(worksheetにはI go to hot springと書いてある)

T: Oh, you WENT to a hot spring? Where?

S: あーyes, yes I went to Gifu

のような感じである(確かこんなやりとりがあったと記憶している)。教師としては涙ちょちょぎれる(死語?)ような美しきアップテイクである。

ただし,先ほどの例と違うのは,この例の学生はそもそも最初から私と意味のやりとりをしようとしている点である。

どうしても机間巡視している最中は,意味交渉とモデルの提示が入り混じることになってしまうので,混乱を招きやすいのかもしれない。しかしだからといって,ブレイクダウンが発生した瞬間に日本語に切り替えるようなことはしたくない。諦めは大事だが、意味交渉とはブレイクダウンが起こった時にこそ発生するものであるし,私の試行錯誤で彼らにとってのcomprehensible inputを提供できるか否かが決まるわけなので,プロとしてその技を常に磨きたい。

さてあと残り12回しかない授業がどうなるか。毎週火曜はネムレナイ
なにをゆう  たむらゆう。

おしまい。

久しぶりに「英語で」授業をちょっとだけやった話

どうもこんばんは。昨日のNagoya.R #12のまとめもしておきたいところなのですが,金曜日にやった授業の話を。

ついこの前に福田さんに授業を見に来てもらって,その感想を書いていただいたりしました。

彼のブログ記事はこちら→ https://fukutajunya.wordpress.com/2014/11/30/%E6%8E%88%E6%A5%AD%E8%A6%8B%E5%AD%A6%E3%81%AE%E6%84%9F%E6%83%B3%EF%BC%91/

その中でも言及されているのですが,後期は単語テストとリーディングをつなげるような授業をやっています。毎週単語テストをやって,前週に単語テストに出た単語が出てくる物語文の読解をやるという感じ。物語文は私自身が毎週書き下ろしています。主人公の名前が私の名前で,妻がいて不倫しているという設定ですw

普段はスクリーンのある大きな教室で授業をしていて,2時間続きのうちの後半ではTED動画を見ながらリスニング活動をやっています。ところが,金曜日の授業に行くと,いつもの教室が使えないとのこと。おいおいそりゃもっと早く言っておいてくれなきゃ困るよスクリーン使えないとできない授業をやっているからわざわざ大きい教室でいつもやっているんじゃないかと思ったりはしましたが,そんなこと言っても仕方ないので急遽別の活動をやることに。

授業開始まで30分というところで私が思いついたのは,物語文を素材にした活動でした。毎週やっている物語文(前週までで9話)を順番がわからないように1枚ずつ印刷して,それを読んで4コマ漫画にまとめてからコマを描写するライティング活動です。ただしそれだけだと90分はもたないということで,それぞれに1話ずつをランダムに配布するようにしました。それぞれがまとめた文章だけをもとにして,全員で協力して正しい順番になるように並べ替えるという感じ。これを英語でやろうということです。

まずは各自がそれぞれのエピソードを読んで,まとめる作業。話し合いの段階では元の文章は回収することをあらかじめ伝えておきました。

完全に思いつきだったのであまり細かいことは考えていませんでしたが,今考えると,先に文章から4コマだけを作らせて,文章を回収してから漫画のサマリーを書くという順序にすればよかったなと反省。あるいは読ませて回収してから書かせるというのでもよかった。もう少し難易度を下げるとすると,例えば各コマに対してキーワードを3つだけ書いてよいとかにしても良かったのかも。そしてそれをもとに文を書かせるという。

その後に順番を並び替えさせるにあたって,どういうスタイルにするかは悩みました。全員で9人しかいないとはいっても,9人で話し合わせるのは議論が活発にならないだろうし,かといって半分に分けるとすると,分けた4人の順番には穴があくので(例えば1話と4話と7話と9話みたいになる),それをもう半分と合わせるたときに順番を考えるのが難しいかなと思ったり。今考えると,先にグループを分けて前半組には1~4話,後半組には5~9話みたいにする手もあったなと思います。そうすれば,グループ内での並び替えはシームレスになるので。結局その場でいいアイデアが思い浮かばずに9人で1つにすることに。

全員が個人でまとめる作業に入っている間,黒板に話し合いで使えそうな英語表現を書いておきました。

  • 順番を表す:first, second, third; then, finallyなど
  • 前後関係を表す: before ~, after~

みたいな感じ。あとはfollowやprecedeなんかも書いておいて,全員がまとめ終わったら表現をちょっと解説。最初の”I’ll talk about~”や最後の”That’s all.”なんかも書いておきました。本当は自由に英語でdiscussionしながらやれたらよかったんですけれど,いきなりそれはちょっと難しいと。

そんなわけで,順番に自分がまとめた英文を読み上げるような感じにしました。読んだ人が次の人をどんどん指名していく感じ。聞いている人は,メモを取って誰の次に誰が来るかを考えさせるようにしました。

全員が読み終わったあとに,「さぁみんなで考えよう!」みたいにやっても「シーン」ですよね当然。なので,私自身がコーディネーターというかオーガナイザーみたいになって,英語でみんなの意見を聞いていくようにしました。”Whose story do you think comes first?”みたな感じで。これでもシーンてなるので,指名しながらやりました。”What do you think, ◯◯?”とか言いながら。文で発話するのは難しいんですけれど,”×× first”みたいなことをいったら,”OK. ◯◯ thinks ××’s story comes first. What do you think, ××?”みたいな感じで回すと。間違ってたら”No.”とかいう学生がいたりして,”Then, who do you think read the first one?”とか聞いてみたり。何人かに聞いて同じ人の名前があがったら,その人にもう一度読み上げてもらって内容を再確認。ここでまたメモを足している学生もいました。次は誰かとか聞いてみると手をあげたりする学生がいて”Do you think your story follows ××’s one?”とか聞いていく感じ。本当なら,”Why?”とか聞いたらいいかもしれないのですが,これに答えるのは意外に難しくて,多分答えに詰まっちゃうだろうなと思ったのであえて聞きませんでした。こうやって,適宜順番を確認しながら,残っているのは誰だっけー?みたいにしつつ,最終的に1~9の順番を割り振って「ちゃんとつながったねー!」という感じでおしまい。

この活動は,「クラスメイトが読んだ内容を耳で聞いて理解する」ということと,「その情報をもとに順番を並び替える」という2つのことが要求されます。リスニングすることの積極的な意味付けをするのってちょっと難しかったりするので,一生懸命聞き取って内容をメモしていたのを見るとある程度は機能していたのかなと感じました。感想を見ると「やりがいがあった」という声や「難しかったけど,最後に全員のがつながって感動した」という声もありました。「面倒でした」という感想もありましたが…

はっきり言って一番英語力がアップする機会があったのはその場で情報を整理したり,聞き出したり,意見を求めたり,とかを英語でやっていた私自身だと思います(苦笑)。ただ,教師と学生の目標言語のインタラクションの機会って最近の授業ではあまりなかったので,新鮮ではあったのではないかと思います。「久しぶりに英語だけの授業楽しかったです」という感想もありました。インタラクションを通じたインプットを与えるのも,少人数だから結構機能するし,やらないともったいないですね。ちょっとこれからはそういうのも考えながら授業の活動を作っていこうかなと思いました(今さら…)。

なにをゆう たむらゆう

おしまい。